ポーランド保険大手PZU、メットライフ・ウクライナを買収

(ポーランド、ウクライナ)

ワルシャワ発

2026年05月08日

ポーランド最大の保険グループであるPZUは5月4日、ウクライナ最大の生命保険会社メットライフ・ウクライナ(MetLife Ukraine)の全株式を取得することで合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(ポーランド語)。取得価格は非公表で、取引の完了には規制当局の承認取得が必要となる。

メットライフ・ウクライナは、ウクライナ生命保険市場で約5割のシェアを有する最大手で、約90万人の顧客を擁する。個人・団体向け生命保険のほか、医療・傷害保険、従業員福利厚生向け保険商品を多様な販売チャネルを通じて提供している。2025年の実績は売上高約3,800万ユーロ、純利益約2,100万ユーロで、自己資本利益率(ROE)は約20%と高い水準を維持した。

PZUは2005年からウクライナ市場で事業を展開しており、今回の買収により、同国における生命保険分野での事業規模拡大と販売ネットワークの強化を図る。PZUのボグダン・ベンチャク最高経営責任者(CEO)は、ウクライナの生命保険市場は中・東欧諸国と比べて依然として保険の浸透率が低く、中長期的に大きな成長余地があると指摘している。

ポーランドのシンクタンク、ポーランド東方研究所(OSW)のボイチェフ・コノンチュク所長は今回の件について、ウクライナの戦後復興を視野に入れた戦略的投資であり、ポーランドからウクライナへの投資として過去最大規模になる可能性がある、との見方を示した。

なお、メットライフ・ウクライナは、2022年にロシアによる全面侵攻が始まった後も事業を継続しており、戦争の影響で被害を受けた民間人向けに保険金支払いを行ってきた実績がある。こうした点は、同社のオペレーションの継続性や顧客基盤の安定性を示すものとされる。本取引は、戦争および政治リスクに備え、ポーランド輸出信用機関(KUKE)の保険によりカバーされており、承認取得後に最終的な取引完了が行われる見通しだ。

(金杉知紀)

(ポーランド、ウクライナ)

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