農薬、肥料などの衛生登録手続きを改正、データ保護などUSMCAにも対応

(メキシコ)

調査部米州課

2026年05月01日

メキシコ政府は4月24日、官報で「農薬(殺虫・除草剤)、肥料(植物栄養剤)、有毒・危険物質の登録、輸出入許可、輸出証明書に関する規則」(通称、PLAFEST規則)を改正する政令を公布し、翌日施行した。本改正は、農薬、肥料、有毒・危険物質を対象とする登録・輸出入制度を改正し、とりわけ新規農業用化学製品に関するデータ保護と制度透明性の強化を目的とするもの。

最大の改正点は、「新規農業用化学製品」の定義(注1)を新設し、未登録の有効成分を含む農薬・植物栄養剤を明確に位置付けた点である(第2条第XXXII Bis号)。これと併せて第13 Bis条を新設し、当該製品登録に用いられた安全性・有効性、毒性、生態毒性、環境中挙動(注2)の試験データについて、最初の登録日から10年間、第三者が権利者の同意なく利用することを禁止するデータ保護制度が導入された。これは、海外での承認データを基に登録された製品にも適用される。

登録申請手続きについては第10条が改正され、COFEPRISへ提出すべき書類の範囲と構成が整理された。特に、データ保護期間内に既存データを参照する場合に必要となるデータ権利者の明示的同意書(第10条第I項f号)、および特許が存在する場合のIMPI発行の特許権証明または実施許諾証明(同g号)の提出が明文化された。また、技術資料を5区分に整理して提出させる仕組みが第10条第II項により定められ、審査の体系化と効率化が図られている。

加えて、COFEPRISには、登録済み製品および審査中申請に関するデータベースを少なくとも30日ごとにウェブサイトで公開する義務が課され、市場の透明性が向上することとなる(第10条第II項後段)。さらに、登録更新後の有効期間についても、第23条Bis 4により従来の5年から10年に延長された(注3)。

日本製殺虫剤の輸入拡大にも期待

本改正は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)第20.48条(知的財産の章の未公開データ保護)、および第29章(透明性の章)に基づく未公開データ保護や透明性原則に整合する内容であり、2026年7月に予定されるUSMCAの共同見直しも視野に入れ、将来的な通商紛争のリスクを低減する狙いもあるとみられる。

なお、今回の規則改正の対象となる品目のうち、日本からの輸入が多いのは殺虫剤である。2025年の日本製殺虫剤輸入は前年比37.5%増の1,133万ドルとなり、メキシコの同品目の全世界からの輸入額の3.4%を占め、第5位の輸入相手国となっている(添付資料表参照)。新規農業用化学製品に対する10年間のデータ保護期間の設定や衛生登録更新後の有効期限の延長(5→10年)などの改正は、日本製殺虫剤のメキシコにおける販売促進に向けた追い風となり得る。

(注1)「本規則に基づき登録を取得した農薬(殺虫・除草剤)または肥料(植物栄養剤)において、これまで使用されたことのない有効成分を含有する農薬または肥料」と定義。

(注2)化学物質が環境に入ったあと、どこへ行き、どう変わり、どのくらい影響を残すかを示す考え方。

(注3)衛生登録を初めて申請した際(初期登録)の有効期限はこれまでどおり5年間だが、更新後は10年となる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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