台湾行政院、大口電力利用者の自家発電・蓄電設備の設置義務化案を可決
(台湾)
調査部中国北アジア課
2026年05月19日
台湾の行政院は5月14日、経済部が提出した「エネルギー管理法(注1)」の一部条文改正案を可決した。同改正案は今後、台湾の立法院にて審議される。
経済部の発表によると、同改正案は台湾域内のエネルギー需要側の管理強化および「深度節能(注2)」政策の推進を目的としている。同改正案がこのまま審議、採択された場合の、在台日系企業を含む産業界への実務的な影響が予想される主な改正ポイントは次のとおり。
(1)大口利用者の自家発電設備および蓄電設備の設置義務化:
使用電力が一定の契約容量以上の利用者に対し、一定期間内に規定容量以上の自家発電設備および蓄電設備の設置を義務付ける。経済部はこれにより、事業者のエネルギー自給能力を高め、電力網(グリッド)のレジリエンス向上および送配電損失の低減を図るとしている。
(2)管理対象の拡大と事業環境の整備:
再生可能エネルギーおよび熱エネルギーを新たに法規制の対象に追加する。また、特定エネルギー製品(例:車両用水素燃料)について、法的根拠を明確化し、事業者が参入しやすい制度環境を整備する。
(3)罰則の強化と違反時「事業者名公表」リスクの発生:
地方自治体による立ち入り検査権限を強化するとともに、違反時の過料上限を引き上げる。さらに、コンプライアンス徹底を促す観点から、違反事業者の名称および違反事由を公表する。
同改正案が成立した場合、台湾で操業する製造業を中心に一定の影響が及ぶとみられる。基準に該当すれば蓄電設備などの導入に伴う追加投資が生じる可能性があるほか、事業者名公表リスクを踏まえた管理体制の見直しも必要となり得る。また、新規進出や工場拡張時においても、関連コストや設置スペースの考慮など、新たな対応が求められそうだ。
経済部エネルギー署副署長の陳崇憲氏は、焦点となる「一定の契約容量」(大口利用者の定義)の具体的な基準について、エネルギー管理法改正案の成立後、施行細則の策定段階において各方面の意見を踏まえ決定するとしている(「経済日報」5月15日)。ねじれ状態にある立法院での審議の行方や、産業界の反応、経済部による対象基準の策定動向が今後の注視点となる。
(注1)台湾のエネルギー需給や省エネ推進を定める基本法。近年は脱炭素や電力安定供給の観点から、事業者に対するの管理・規制が強化されている。
(注2)台湾当局が推進する、従来の節電をさらに発展させた高度な省エネルギー政策の考え方。大口利用者に対する節電目標の引き上げや、事業者への支援、家庭用家電の買い替え補助などを包括的に行う取り組み。
(藤本海香子)
(台湾)
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