中国、渤海横断ドローン物流航路が開通

(中国)

青島発

2026年05月14日

中国で初めてとなる渤海を横断するドローン物流航路が4月29日に開通した。同航路は遼寧省大連市と山東省青島市を結ぶ往復ルートで、渤海(中国北部、遼東半島と山東半島の間にある内海)を越えて運航する(「青島発布」4月30日)。

同航路では、大型ドローンの研究開発・製造を手掛けるハイテク企業の天域航通科技が保有する大型固定翼ドローン「鴻雁(こうがん)」を使用する。同社によると、「鴻雁」の最大離陸重量は5.25トン、貨物室容積は11立方メートル、最大航続距離は1,800キロメートルで、離着陸に必要な距離は150メートル未満と、比較的短距離な滑走路での運行が可能だ。また、高度4,000メートル以上での巡航飛行に加え、高度4~6メートルの超低空でも安定した飛行ができる。

同機はこれまで中国北西部、華北、西南部などで7,000回以上の飛行任務を遂行しており、高原や山地、海上など複雑な気象・電磁環境下での運航経験を豊富に有している。

今回の運航では、大連長海空港を離陸し、渤海海峡を横断して青島萊西空港に着陸した。総飛行距離は340キロメートルで、そのうち海上区間が200キロメートルを超える。所要時間は約2時間だ(「遼寧日報」4月30日)。天域航通科技によれば、本航路の商業運行は、主に中国郵政などが低空物流輸送に活用し、日用品やビジネス文書、高付加価値の医薬品、緊急物資など多様な貨物の輸送を担う。

同社によれば、環渤海地域は中国の重要な経済成長エンジンの1つで、全国の製造業生産能力の約5分の1が集積し、半導体、自動車部品、医薬品のコールドチェーン、生鮮水産物などの産業では物流の迅速性が強く求められている。一方で上記4月30日付の「青島発布」によると、既存の交通システムでは、遼寧省と山東省の都市間輸送に鉄道や高速道路で8時間以上、海上輸送でも5~10時間を要する。これに対し、低空を利用した海上直送のドローン物流は、より柔軟で効率的な輸送手段として期待されている。

工業情報化部装備工業発展センターの担当者は、大型積載固定翼ドローンや長航続垂直離着陸機(VTOL)といった低空新型航空機の開発を加速させるとした。また今後は核心技術と基礎共通技術の研究開発を進めるとともに、安全設計と信頼性確保の体制構築を目指すとしている(「青島発布」4月30日)。

(董玥涵)

(中国)

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