香港、第1四半期のGDP成長率は前年同期比5.9%、約5年ぶりの高水準に

(香港)

香港発

2026年05月14日

香港特別行政区(以下、香港)政府は5月5日、2026年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(速報値)を前年同期比5.9%だったと発表した(添付資料図参照)。前期(2025年10~12月)より1.9ポイント上昇し、約5年ぶりの高水準となった。ちなみに、2026年2月に公表した2026年通年のGDP成長率見通しは2.5~3.5%となっている。

GDPを需要項目別にみると、個人消費支出は前年同期比5.0%増と、前期(2.5%増)から増加幅が拡大した。政府消費支出は2.9%増と前期(1.5%増)から1.4ポイント上昇した。固定資本形成も17.7%増と、前期(11.7%増)から6ポイント増加した。財の輸出は23.8%増と、前期(15.4%増)を8.4ポイント上回り、輸入は29.9%増で前期(18.2%増)から11.7ポイント増加した。サービス輸出は3.5%増と前期(4.7%増)から1.2ポイント低下した一方、輸入は3.9%増で前期(3.7%増)から増加幅が拡大した。

政府報道官は、同期の実質GDP成長率について「堅調な伸びを示した」と評価した。今後の見通しについては、「引き続き好調を維持する」とし、その要因として、人工知能(AI)搭載電子関連製品への旺盛な需要、来港客数の増加、越境金融サービス活動の活況、ビジネス環境および消費者心理の安定を挙げた。一方で、中東情勢の緊迫が経済の下押しリスクになると指摘する。対応策として、エネルギー供給の安定や各業種向けの影響緩和措置を講じているとした上で、外部環境の変化を引き続き注視する考えを示した。

フランス系投資銀行「ナティクシス」のシニア・エコノミストの呉卓殷氏は、消費者心理が十分に回復していない中、市民の消費パターンの変化(注)によって、消費の流出が続いていると指摘した。一方で、第1四半期は個人消費が増加しており、個人消費を中心に経済の基調が自身の想定を上回っているとし、政府による景気刺激策が成長に一定程度貢献したと分析した。先行きについては、中東情勢を背景とした不確実性が下押し要因になると予測した。原油価格が高止まりした場合、輸入インフレが香港市民の消費および投資意欲に影響を及ぼす可能性がある、と指摘した(「RTHK」5月5日)。

香港政府は、5月15日に2026年第1四半期の実質GDP成長率(改定値)と2026年通年GDPの最新予測値の詳細を公表する予定だ。

(注)中国本土との往来再開に伴い、香港居住者の休日の消費行動は、従来の「香港内での消費」から、「物価が安く選択肢も豊富な深セン市への日帰り旅行」、または「海外旅行」へと移行しつつある。

〔黄莃倫(ケリー・ウォン)〕

(香港)

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