フィリピン中銀、中東情勢の影響を受け政策金利を4.5%に引き上げ

(フィリピン、中東)

マニラ発

2026年05月20日

フィリピン中央銀行(BSP)は、4月23日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である翌日物借入金利(リバース・レポ金利、RRP)を25ベーシスポイント(1bp=0.01%)引き上げ、年4.50%にすると発表した。今回の引き上げは2023年10月以来、約2年半ぶりで、金融緩和から引き締め政策に転換した。中東情勢の悪化を受けて、国内で燃料価格をはじめとする物価上昇が進んでいることから、適時かつ予防的な対応が必要だと判断した。

4月のインフレ率は前年同月比7.2%となり、中東情勢の悪化に伴う燃料価格の急騰を背景に、前月の4.1%を大幅に上回った。インフレ率が7%台となるのは2023年3月以来。特に運輸部門の上昇率は、2月のマイナス0.3%から3月には9.9%、さらには4月には21.4%まで急騰している。

BSPは2026年と2027年のインフレ率をそれぞれ6.3%、4.3%と予想しており、いずれも政府目標(注)の上限である4%を上回るとみている。今回の利上げについては、BSPはインフレ期待の高まりや2次的影響を抑制するための対応策であり、中長期的には経済回復につながるとしている。

通貨ペソの為替レートは利上げ後も1ドル61ペソ前後で大きな変化はない。ペソ安の背景としては、米国で堅調な雇用統計の結果とインフレ加速を受け、利下げが実施されていないこともある。今後、米国の金利が下がらないと仮定し、フィリピンでの追加利上げがなければ引き続きペソ安要因となり、輸入コストが増加し、インフレ加速や景気減速を招く可能性がある。一方、過度な利上げは住宅ローンや設備投資を冷え込ませる懸念もあり、BSPは物価安定と景気維持の間で難しいかじ取りを迫られている。

(注)BSPはインフレターゲッティング政策を採用しており、政策金利の調整などを通じて、インフレ率を2~4%のレンジ内に収めることを目標としている。

(葛原伯史)

(フィリピン、中東)

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