米アマゾン、自社の物流網を全ての販売事業者に開放するサービスを発表
(米国)
ニューヨーク発
2026年05月08日
米国アマゾンは5月4日、自社の物流ネットワークを全ての販売事業者に開放する「アマゾン・サプライチェーン・サービス(ASCS)」の提供を開始すると発表
した。これまで同社の物流サービスは主にアマゾン上の出品者を対象としてきたが、ASCSの導入により、アマゾンでの販売実績がない事業者も同社の物流網を利用できるようになる。
ASCSは、輸送・通関手続きから在庫管理、ラストワンマイル配送まで一気通貫で支援する点が特徴で、主に次の3つの機能で構成される。
- 貨物輸送(Freight):海上・航空・陸上・鉄道を網羅した輸送ネットワークを提供する。簡素化された予約システムや通関手続きの代行、輸送状況のリアルタイム可視化により、緊急配送からコスト最適化まで多様なニーズに対応する。
- 流通・フルフィルメント(Distribution and Fulfillment):輸入、保管、在庫配置を一元管理し、外部EC(電子商取引)モールや実店舗を含むマルチチャンネルの注文を統合する。これにより、配送リードタイムの短縮と在庫運用の効率化を両立させる。
- 小包配送(Parcel Shipping):販売チャンネルを問わず週7日体制で、2〜5日以内の配送を実施する。自社倉庫や外部拠点からの柔軟な集荷に加え、送り状発行から配送完了までの高度なトラッキング機能を提供する。
小売業界では過去20年間、コスト抑制やサプライチェーンの寸断リスクへの対応を背景に、物流のアウトソーシングを加速させてきた。特に「アマゾンプライム」によって確立された迅速な配送は消費者の期待を高め、小売り各社は競争力維持のために外部の物流業者への依存度を一層高めている。こうした流れを受け、米フォーチュン500企業における3PL(サードパーティ・ロジスティクス)の利用率は、2006年の72%から94%へと大幅に上昇した(「ウォールストリート・ジャーナル」紙5月4日)。
従来の物流のアウトソーシングでは、サプライチェーンの段階ごとに複数の物流業者や倉庫会社と個別に契約・調整する必要があり、その煩雑さが課題とされてきた。ASCSを活用することで、こうした業務をアマゾンで一本化でき、管理コストの削減が見込まれる。これにより、小売り各社は商品開発やマーケティングなどのコア業務にリソースを集中することができる。
すでに消費財大手のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や、アパレル・家庭用品のランズエンドなどが、原材料の輸送やマルチチャンネルの在庫・配送管理にASCSを導入している。ランズエンドのアンドリュー・マクリーン最高経営責任者(CEO)は、「この一貫性こそが当社のソリューション型アプローチの核であり、特に繁忙期においても確信や機敏さを持って顧客に対応できる」と評価している。
(加藤翔一、樫葉さくら)
(米国)
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