ルーマニアでボロジャン内閣の不信任案可決

(ルーマニア)

ブカレスト発

2026年05月08日

ルーマニアの上下両院合同議会は5月5日、親EU連立政権を率いる国民自由党(PNL)のイリエ・ボロジャン内閣に対する不信任案を可決した。不信任案は、連立与党の社会民主党(PSD)と野党の極右政党ルーマニア統一同盟(AUR)が共同提出し、可決に必要な233票を大きく上回る281票が賛成、4票が反対に投じられた(無効票は3票)。ボロジャン政権が実施してきた増税や歳出削減などの緊縮財政に対する反発が強まり、PSDは4月21日に連立政権からの離脱を決定していた。

不信任案の可決を受け、ボロジャン内閣は新政権が発足するまで権限を限定した暫定内閣となる。ニクショル・ダン大統領が各党の代表者らと協議を行い、新たな首相候補を指名し、議会で信任投票を受けて決定される。現地メディア「Romania-Insider」によると、ダン大統領は5月5日、親EU路線を維持する方向で各党との協議を進める考えを示し、加えて早期の総選挙実施の可能性については否定した。

不信任動議を受けて、同5日に議会で演説したボロジャン首相は、「この動議は虚偽で冷笑的、作為的なものだ」と批判し、つい最近まで政権を共にしてきたPSDが内閣不信任案の提出側に回ったことは論理的に矛盾していると指摘した。また、2024年の財政赤字がGDP比9.3%でEU最大となったのは、自身が生み出したものではなく、前政権から引き継いだ課題だとした上で、人気取りではなく必要な改革を優先し、赤字是正と財政規律の回復に取り組んできたと強調した。さらに、同首相は「私が退いても深刻な問題は残る」と述べ、内閣不信任によって国の根本的課題は解決されないと警告した。

現地の複数報道によると、政局不安を背景に市場・経済面での懸念が高まったことで、財政運営の不透明感から投資家の慎重姿勢が強まっており、通貨レウは対ユーロで過去最低水準に下落した(1ユーロ=5.2688レイ、レイはレウの複数形、2026年5月6日ルーマニア国立銀行為替レート)。

(本吉美友)

(ルーマニア)

ビジネス短信 6b026ce85adc4a71