高市首相がベトナム訪問、新指導部と関係構築し、経済安全保障の協力を強化

(ベトナム、日本)

ハノイ発

2026年05月11日

高市早苗首相は5月1~3日、ベトナムの首都ハノイ市を公式訪問した。政権発足後、アジアで初の外遊先として同国を選び、4月に発足したベトナムの新指導部との関係構築を進めるとともに、エネルギー、重要鉱物、科学技術などの経済安全保障分野における「包括的戦略的パートナーシップ」(注)の強化を図った。

2日午前には、レ・ミン・フン首相との会談後、文書交換式および共同記者発表を実施。フン首相は、日本を戦略的パートナーの1つである「信頼できる誠実な仲間」と評し、貿易・投資、ODA、DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)、科学技術、食料安全保障、持続可能なエネルギー分野での協力に期待を示した。同日午後には、トー・ラム書記長兼国家主席と会談し、2026年内に同氏の訪日を調整することで一致した。

また、高市首相はベトナム国家大学ハノイ校で外交政策演説も行った。「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」のアップデートとして、AI(人工知能)・データ時代における経済エコシステムの構築や官民一体での経済フロンティアの共創とルールの共有、安全保障分野での連携を重視する考えを示した。

現地報道では、高市首相と、ラム書記長やフン首相らとの会談を通じ、次の事項などについて合意・確認したことが報じられている。

  • アジア・エネルギー・資源供給力強靱(きょうじん)化パートナーシップ(POWERR Asia)においては、最初の協力案件として、ギソン製油所のフル稼働を確保するための原油調達を支援。気候変動対応分野でのODA協力プロジェクトを実施、重要鉱物や原子力、ガスなどのエネルギー開発の協力を促進。
  • 科学技術分野では、日本がAI、半導体、宇宙などの分野でベトナムの自立性強化を支援。特に、奨学金や共同研究を通じた高度人材の育成を重視。年内に日越科学技術協力合同委員会を再開し、官民連携イベントを開催することに合意。
  • 投資・貿易面では、2030年までに日本の対ベトナム投資50億ドル、2国間貿易額600億ドル(いずれも年間)への引き上げを目指す。ベトナムはビジネス環境の改善や、煩雑な行政手続きの削減、市場開放を進める。

(注)ベトナムにとって最高位の外交関係を示す枠組みであり、2026年5月時点で15カ国・地域が本パートナーシップ関係にある。日本は、2023年11月に中国、ロシア、インド、韓国、米国に次ぐ6カ国目の包括的戦略的パートナーシップ関係になった。

(萩原遼太朗)

(ベトナム、日本)

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