第1四半期GDPは前年同期比0.5%減、3年ぶりのマイナス成長
(ウクライナ)
調査部欧州課
2026年05月11日
ウクライナ国家統計局の発表(5月5日)によると、同国の2026年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(速報値)は前年同期比マイナス0.5%となった。2023年の第2四半期以降プラス成長が続いていたが、3年ぶりにマイナスに転じた。前期比(季節調整済み)でもマイナス0.7%だった。
ウクライナ経済・環境・農業省のモニタリングレポート(2026年1~2月各月版)によると、ロシアによるエネルギーインフラへの攻撃激化や、例年にない寒波を背景に多くの分野で経済活動の低下がみられ、特に電力供給、運輸の分野への影響が大きかった。一方で、賃金上昇に伴う堅調な消費者需要や安定した商品供給が下支えした小売業、防衛・エネルギー復旧関連の製造業などは好調だった。
ウクライナ国家統計局が発表する景況感指数をみると、2026年第1四半期は105.8を記録した。2023年第2四半期以降、基準値となる100を超え、良好な景気を示している。
ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)が毎月実施するビジネス活動期待指数(BAEI)をみると、1月は41.3と、季節的要因も影響して低い値となったが、徐々に回復し、3月は52.7、4月は51.7と基準となる50を超えた。国際パートナーからの支援、消費者需要の復活、インフラ復旧や道路工事への予算支出などがプラスに働いた。
NBUは4月のインフレ報告(5月7日公表)で2026年のGDP成長率予測を1.3%とし、1月のインフレ報告(2月5日公表)での1.8%から0.5ポイント下方修正した。インフラへの甚大な被害、電力不足、エネルギー価格の大幅な上昇などを要因として挙げた。安全保障上のリスクが徐々に軽減すれば、2027~2028年にかけてエネルギー不足は徐々に解消され、個人消費の拡大や農作物の収穫量増加などを背景に、GDP成長率は2027年に2.8%、2028年に3.7%に加速すると予想する。
インフレ率(消費者物価上昇率)は2025年6月~2026年1月まで低下し続けていたが、2月以降上昇に転じた。不安定なエネルギー供給、中東情勢に起因する燃料価格の高騰、通貨フリブニャ安、賃金の想定より早い上昇などが背景にある。NBUは、インフレ率は2026年に9.4%まで加速を見込むが、2027年から低下に転じ、同年末までに6.5%、2028年には5%に収束すると予測する。
ウクライナ国家統計局によると、2026年3月の平均月額賃金は2万8,885フリブニャ(約10万3,986円、1フリブニャ=約3.6円)で、前年同月比22.2%増加した。NBUは経済活動の回復に伴う労働需要の高まりにより、実質賃金上昇率は2026年に11.6%、2027~2028年に6~7%で推移し、失業率は2026年に10.2%、以降9%前後に収束する見通しを立てている。
(柴田紗英)
(ウクライナ)
ビジネス短信 24f3c646b6d6c992





閉じる