米マサチューセッツ州気候関連展示会で知事が新たな税額控除などを発表予定と説明
(米国)
ニューヨーク発
2026年05月12日
米国マサチューセッツ州ボストンで気候関連展示会「クライマテック(ClimaTech
)」が、5月4日から5日の2日間にわたって開催された。2024年から開催されている同展示会には、日本企業では住友化学がブースを設け、米国、カナダ、韓国、ドイツなどから、太陽光発電、持続可能な建材、人工知能(AI)を用いたエネルギー診断などのさまざまな技術を有する企業、政府機関など合計44のブースが設けられた。ボストンでは、ピッチイベントやカンファレンスなどの気候変動関連イベントが行われる「Climate Week(気候週間/クライメート・ウィーク)」
が5月3日から10日にかけて初めて開催され、クライマテックもその1つだった。
クライマテック会場の様子(ジェトロ撮影)
クライマテック初日の開会セッションでは、気候変動問題の有力NGOセリーズ
のCEOミンディー・ラバー氏から、企業と投資家を巻き込んだ市場ベースの気候変動対応の重要性と、連邦政策が後退している中でも、マサチューセッツ州政府や企業の取り組みは継続しているとの説明があった。また、同州経済団体アソシエイティッド・インダストリー・マサチューセッツ
のブルック・トムソン氏は、企業の投資判断には規制の安定性とインセンティブが不可欠であり、州レベルで教育・支援を強化しつつ、インフラ整備や地域合意を進める必要性があると訴えた。
2日目には、マサチューセッツ州知事のモーラ・ヒーリー氏(民主党)がビデオ講演を行った。知事は冒頭のあいさつで日本からの参加者について触れたほか、前日に気候関連ビジネスの推進を目的とする非営利団体ACTが発表した世界のクリーンエネルギー企業トップ20社に関する最新の報告書
に言及し、それらトップ20社のうち、三菱電機を含む16社がマサチューセッツ州に拠点を置いていることを強調した。
また、マサチューセッツ州には1万社以上の気候関連技術企業があり、16万3,000人もの人々がエンジニアとして働いていると述べた。気候関連部門の雇用創出をさらに拡大するため、2万5,000人を対象とした気候関連訓練プログラムを構築し、今後10年間で総額10億ドル規模の投資を行う予定だと説明した。さらに今後数週間以内に、新しい税額控除や補助金を含む施策を発表する予定であり、その1つとして州政府機関であるマサチューセッツ・クリーンエネルギー・センター(MassCEC)の「気候技術の試験・実証(Climatetech Testing & Demonstration Assets 、TDA) プログラム
」に言及した。
このプログラムは、インキュベーター、リサーチセンター、大学へ向けて共有インフラや設備投資のための資金を提供することを目的としている。これらのタフテック(Tough Tech、次世代エネルギーや新素材など、実用化に高度な設備と多額の資本を要する技術分野)は、専門的かつ高額なインフラを必要とすることが、多くのアーリーステージの企業にとって大きな参入障壁となっている。このプログラムを通じてタフテックのインフラを共有施設として整備することで、参入障壁となるスタートアップのコスト負担を軽減し、より迅速な事業化を可能にすると説明した。
モーラ・ヒーリー知事のあいさつ(ジェトロ撮影)
また、ボストンの有名アクセラレーターであるグリーンタウンラボ
が主催した5月6日のスタートアップイベントでは、スタートアップから日本の二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)市場の動向やグリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けた分野別投資戦略について質問を受ける場面もあり、米国企業からの日本のGX動向への高い関心がうかがえた。ニューヨークほどの大規模ではないものの、マサチューセッツ州の政策の後押しを受けた気候変動エコシステム関係者の意欲は高く、今後の拡大が期待される。
(鵜飼紗帆、遠藤壮一郎)
(米国)
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