エネルギー大手OMV、国内ガス田で天然ガス生産を開始

(オーストリア)

ウィーン発

2026年05月25日

オーストリアのエネルギー大手OMVは5月18日、同国東部のウィッタウ市で天然ガスの生産を開始したと発表した。ガス田は可採埋蔵量が約48テラワット時(TWh)と過去40年間で最大のガス田発見とされ、国内のエネルギー供給にとって戦略的に重要と位置付けられている。

同プロジェクトは、ガス田の発見から約3年を経て商業生産に移行した。第1段階では約11TWh(約10億立方メートル)のガスを開発し、10年間にわたり約10万世帯分の熱供給を実現できる見込みで、2026年冬から安定供給を行う計画だ。本格稼働時にはOMVの国内のガス生産量を倍増させることになる。総投資額は約1億5,000万ユーロで、このうち約7,000万ユーロを掘削、約8,000万ユーロをインフラ整備に充てる。

生産開始式典にはOMVのアルフレッド・シュテルン最高経営責任者(CEO)のほか、クリスティアン・シュトッカー首相やウォルフガング・ハットマンスドルファー経済・エネルギー・観光相なども出席した。シュトッカー首相は「現在の地政学的変動においては、自国の潜在力を活用し、インフラに投資することが重要」と述べた。またハットマンスドルファー経済相は「国際エネルギー市場をコントロールすることはできないが、依存度を下げることは可能だ」とコメント(「デア・スタンダード」紙5月19日付)。シュテルンCEOは、天然ガスを「エネルギー供給を確保しつつ、クリーンで再生可能なエネルギーシステムへの移行を可能にするもの」と位置付け、既存の供給体制を補完する役割を強調した。

一方、気候政策面では強い批判がある。「デア・スタンダード」紙(5月18日付)は、非政府組織「フライデーズ・フォー・フューチャー(Fridays For Future)」が同プロジェクトを「化石燃料による未来破壊」と批判したことを紹介し、オーストリア政府の目標である2040年までの気候中立(カーボンニュートラル)達成を真剣に受け止めるならば、天然ガスの役割は限られることになると指摘した。

国民党、社民党、ネオスからなる連立政権は、エネルギー安全保障を重視しており、国内での生産を支援する戦略を推進している。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア)

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