米USAレアアース、ブラジルの資源企業セーハ・ベルデを買収
(ブラジル、米国)
サンパウロ発
2026年05月07日
米鉱山会社USAレアアースは4月20日、ブラジルのゴイアス州ミナス市で2024年からレアアース採掘を行っている資源開発企業セーハ・ベルデ(注1)を約28億ドルで買収すると発表した。USAレアアースのバーバラ・ハンプトン最高経営責任者(CEO)は同日付のプレスリリースで、「セーハ・ベルデの世界水準の事業運営を、当社の処理、分離・精製、金属化、磁石製造能力と組み合わせることで、包括的なプラットフォームの構築が可能になる。今後数十年にわたり、世界のレアアース供給の安定に貢献したい」と述べた。セーハ・ベルデも4月20日付の公式ウェブサイトで、資源採掘から磁石製造までの一貫した製造体制を確立する方針を明らかにした。
セーハ・ベルデのリカルド・グロッシー最高執行責任者(COO)は、「ブルームバーグ・リネア」紙(4月23日付)のインタビューで、2027年までに同社の年間レアアース生産量を現時点の約100トンから6,400トンに拡大する目標を示した。また、同社のプレスリリース(4月20日付)によると、米政府系機関や民間事業者が出資する特別目的事業体(SPV)との間で、15年間にわたり全生産量を当該SPVに供給するオフテイク(引き取り)契約を締結しているという。
一方、ブラジルの与党内では懸念の声が挙がっている。与党で左派の労働者党(PT)会派は、4月23日付の下院議会の声明で、「ブラジルは既に、戦略的鉱物資源を巡る国際紛争の中心にある」と指摘した上で、「将来の発展に向けた鉱物資源の戦略的開発には、政府の役割拡大や公共的な計画性、サプライチェーンに対する国家の関与が不可欠だ」と主張した。その対応策の1つとして、レアアースなど重要鉱物を扱う国営企業の設立を求めている(注2)。
また、与党連合の1つである中道左派の持続可能性ネットワーク(Rede)は4月24日、今回の買収取引の妥当性に疑問を呈し、最高裁判所(STF)に申し立てを行った。Redeは、国外企業がブラジルのレアアース資源に関する意思決定に影響力を持つことで国益が損なわれる恐れがあるとして、連邦政府および鉱山エネルギー省傘下の国家鉱業庁(ANM)による調査や意見書の提出が必要だと主張している。連邦政府およびANMの対応が行われない限り、取引は中止されるべきだと強調している。
(注1)セーハ・ベルデは、投資会社のデンハム・キャピタル(米)、ビジョン・ブルー・リソースズ(英)、エナジー・ミネラルズ・グループ(米)が出資する企業。科学技術革新省のウェブサイト(2025年8月25日付)によると、ブラジルで唯一、レアアースの商業生産を行っている企業。
(注2)4月24日付「CNNブラジル」によると、連邦政府内では国営企業設立を支持する意見は限定的である一方、国内のサプライチェーン強化策として、重要鉱物に対する輸出税導入の可能性が議論されている。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル、米国)
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