米コロラド州でAI規制改正法が成立、当初法から事業者負担が大幅に縮小へ

(米国)

ロサンゼルス発

2026年05月18日

米国コロラド州のジャレッド・ポリス知事(民主党)は5月14日、自動意思決定技術法案(SB26-189)に署名し、同法案が成立外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同州は2024年に全米初の人工知能(AI)規制法(SB24-205)を成立させ、2026年2月に施行予定となっていた(2024年5月17日記事参照)が、産業界をはじめとした利害関係者から批判が相次ぎ、見直しが進められていた。今回の改正により、規制は大幅に簡素化され、事業者負担が大幅に縮小、特に開発者に対する義務が縮小された。例えば、当初法では開発者に対してガバナンスの枠組み構築や、モデルのリスク評価とテストの実施、アルゴリズムによるバイアスを防止するための措置を講じることを義務付けていたが、今般の改正法ではこれらの規定は削除された。

改正法では2027年1月1日以降、主に開発者と配備者に対して次の義務が課される。重大な決定(注1)に実質的な影響を及ぼす可能性のある自動意思決定技術(ADMT、注2)の開発者は、配備者に対し、想定される用途や学習データのカテゴリー、既知の制約(注3)、適切な使用方法などを記した文書を提供するよう義務付ける。また、対象技術に重大な更新や変更があった場合には、その内容を配備者に通知しなければならない。さらに、開発者および配備者は本法を順守していることを証明するために必要な記録を少なくとも3年間保持しなければならない。

消費者への通知要件も定められている。配備者は消費者に対して重大な決定に影響を及ぼす可能性のあるシステムが使用されていることを明確かつ目立つかたちで通知しなければならない。また、消費者は、ADMTによって使用された個人データの開示、事実に誤りがある個人データの訂正を請求する権利を有する。仮に消費者が不利益を被った場合、配備者は30日以内にADMTがどう関与したかについて、消費者に分かりやすく説明する義務を負うとともに、消費者がAIではなく、人間による実質的な審査(ヒューマンレビュー)を請求する権利も認められる。なお、具体的な開示要件は2027年1月1日までに規則が制定される予定。

本改正について、ポリス知事は「コロラド州にとって正しい方向への大きな一歩であり、全米の模範となるもの。まだ施行されていない旧法がかわることで、コロラド州のイノベーションと起業家精神が促進されるだろう」とコメントしている。

(注1)教育、雇用、住居、金融・融資サービス、保険、医療サービスなど、個人に関係する決定を指すとされる。

(注2)個人データを処理し、計算処理を用いて情報を生成する技術とされ、当該情報には予測、推奨、分類、順位付け、スコアリングのほか、個人に関する決定、判断、判定を行うために使用されるものが含まれる。

(注3)開発者が把握している当該技術の性能上または利用上の制限を指す。

(堀永卓弘)

(米国)

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