米起業家コミュニティー「スタートアップ・グラインド」年次会合を開催
(米国)
サンフランシスコ発
2026年05月08日
米国シリコンバレーで4月28~29日、120カ国・地域で活動する起業家コミュニティー「スタートアップ・グラインド(Startup Grind)」による14回目の年次会合が開催された。同コミュニティーの最高経営責任者(CEO)のデレック・アンダーセン氏は冒頭あいさつで、同コミュニティーの価値観「受け取る前に与える」を語り、創業者や投資家など参加者同士の交流を促した。
イベントでは、市場を形作るリーダーによる講演や、製品を開発・展開する起業家との交流機会が設けられた。メイン会場の講演者として、拡散モデル(注1)を使った人工知能(AI)の大規模言語モデル(LLM、注2)を開発するインセプション(Inception)創業者のステファノ・エルモン氏、クルーズ(Cruise、注3)の元幹部でありオデッセイ(Odyssey、注4)創業者のオリバー・キャメロン氏、ブラウザ上でアプリ開発から公開まで行える開発環境を提供するリプリット(Replit)創業者のアムジャド・マサド氏らが登壇した。
スタートアップ・エキスポ・エリアの様子(ジェトロ撮影)
また、イベントの中核を担った「スタートアップ・エキスポ」エリア専用ステージでは、投資家が市場動向を解説した後、スタートアップが登壇してフィードバックを受ける形式でピッチ機会が設けられた。ブースには、各国・地域政府機関などの支援を受けた約150社が出展した。サイドステージでは、カザフスタンから渡米し海外雇用代行サービス事業を立ち上げたリモファースト(RemoFirst)、アイルランド対内直接投資誘致機関(IDA Ireland)、ジェトロがパネルセッションに登壇した。顧客市場への近接、人材確保、インフラサービスの進展を背景に、創業初期から米国を含む複数国展開を前提とするスタートアップが増えているとの見方が示された。
ジェトロ登壇セッションの様子(ジェトロ撮影)
基調講演では、ツイッチ(Twitch、注5)共同創業者のジャスティン・カン氏が登壇し、アンダーセン氏と起業家の成功観について対談した。カン氏は、企業価値の向上や会社売却による満足感は長く続きにくいと述べ、日々何に時間を使い、何を作るのかという内面的な動機の重要性を指摘した。アンダーセン氏は、機会は誰かが得たからといって自分の分が減るものではないとの考えを示し、他者の成功を比較対象ではなく、それぞれの道として捉える重要性を語った。
(注1)データにノイズを加える過程と、そのノイズを取り除いてデータを生成する過程を学習するAIモデル。画像生成AIで広く使われてきたが、近年は文章生成などへの応用も進んでいる。
(注2)大量のテキストデータを学習し、文章生成、要約、翻訳、質問応答などを行うAIモデル。ChatGPTなどの生成AIサービスの基盤技術として使われている。
(注3)ゼネラルモーターズ(GM)傘下の自動運転技術関連企業。GMは2025年2月にクルーズを完全子会社化し、同社の技術を先進運転支援システムや自動運転技術の開発に活用する方針を示した。
(注4)映像生成AI向けの世界モデルを開発する米国スタートアップ。世界モデルは、AIが物理環境や物体の動きを予測・再現するための基盤技術を指す。
(注5)米アマゾン傘下の双方向型ライブ配信サービス。ゲーム実況やeスポーツ配信を中心に成長し、現在はエンターテインメント、スポーツ、音楽など幅広い分野で利用されている。
(武田史織)
(米国)





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