英国、1~3月期の求人件数は前年同期比8.3%減

(英国)

ロンドン発

2026年05月08日

英国国家統計局(ONS)の4月21日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、賞与を除いた平均週間賃金の伸び率は、2025年12月~2026年2月の3カ月間で前年同期比3.6%となり、2025年11月~2026年1月の3.8%から低下した。賃金上昇率は2020年11月以来の低水準となった。

インフレ調整後の実質賃金の伸びはわずか0.2%にとどまり、2月下旬に中東情勢が悪化する以前から、賃金上昇の勢いが弱まっていたことが分かる。

一方、雇用統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、2026 年初にかけて雇用市場には安定の兆しも見られたが、2026年1月~3月までの3カ月間の求人数は71万1,000件の前年同期比8.3%減と、2021年2~4月以来の低水準に落ち込み、企業が採用に慎重な姿勢を強めていることがうかがえる。

失業率外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを見ると、2025年12月~2026年2月までの3カ月の失業率は前期比で0.2ポイント低下し4.9%となり、BBCなど現地メディアで「予想外に低下」と報じられている。ただし、ONSで経済統計局長のリズ・マキューン氏によると、これは雇用の改善を反映したものではなく、「積極的に仕事を探していない人の数が増加している」と指摘した(2026年4月21日BBC)。

就職も求職もしていない学生を含む非労働力人口の増加により、四半期ベースでは経済活動に参加していない人の割合が上昇外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

また4月22日に発表された3月の消費者物価指数(CPI)上昇率外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、前年同月比3.3%となり、いずれも3.0%だった1月、2月から上昇に転じた。ガソリン・ディーゼルの燃料価格の高騰などが物価を押し上げ、労働者の生活コストは増加しつつある。

KPMGのチーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は、「現時点では、エネルギー価格の上昇が賃金引上げを促す可能性は低い。2022年のエネルギー価格高騰時とは異なり、労働市場は弱含んでおり、労働者の交渉力が抑えられている。このため、賃金と物価が相互に押し上げ合う、いわゆる賃金・物価スパイラルが生じる可能性は低下している」と分析した(2026年4月21日KPMG外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(植松麗良)

(英国)

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