中東情勢受け生活必需品の新たな価格監視体制を導入、小売業界も協力姿勢示す

(イタリア、中東)

ミラノ発

2026年05月27日

イタリア政府は5月13日、食品や日用品などの価格動向の透明性を高めるため、大手小売業者などと協力し、新たな価格監視体制を導入すると発表した。中東情勢の悪化に起因する危機を背景とした取り組みだ。アドルフォ・ウルソ企業・メードインイタリー相(企業相)と、フランチェスコ・ロッロブリジダ農業・食料主権・林業相(農業相)が主導し、イタリア消費者協同組合連合会やイタリア小売流通業連盟、イタリア商業連盟などの代表者との会合を開催し、方針を決定した。

具体的には、政府と小売流通業界が共同で専門部会を設置。イタリア消費者の購買習慣を反映した代表的な生活必需品を定義する。それらの価格推移を監視することで、サプライチェーンにおける投機的あるいは歪曲(わいきょく)的な現象の有無を確認する仕組みを構築する。

ウルソ企業相は、「政府は、ロシアによるウクライナ侵攻後のインフレを抑制し物価上昇を抑えるために迅速に対応してきた。今回も同様に、市場の透明性を高めることで家計と企業の両方を守る」と強調した。ロッロブリジダ農業相は、「現時点では投機的な値上げは確認されていない」との認識を示した上で、小売流通業界の協力的な姿勢を評価。近く産業界や農業団体との協議も進め、サプライチェーン全体の価格形成の実態把握に取り組むことで、国民に良質な食品を届けるだけでなく、一次産業の強化にもつながるとの考えを示した。

イタリア小売流通業連盟のカルロ・アルベルト・ブッタレッリ会長は協力的な姿勢を示し、「内需の低迷がみられる中で、全ての関係者が責任感を持つことが重要だ」と強調した。小売業にとどまらず、加工産業や一次産業にも取り組みを拡大すべきだと指摘した。

4月の消費者物価指数はエネルギーと食品が急上昇

イタリア国家統計局(ISTAT)の5月15日付発表によると、2026年4月の消費者物価指数(CPI)の上昇率(インフレ率、確定値)は前年同月比2.7%(たばこを除く)となり、前月3月の1.7%から大きく加速した。インフレ加速の最大の要因はエネルギー価格で、政府によって価格が管理されていないエネルギー製品の4月の上昇率は前年同月比9.6%となり、3月のマイナス2.0%から一転して大幅に上昇。また、政府によって価格が管理されているエネルギー製品の価格上昇率も、3月の前年同月比マイナス1.6%から4月は5.3%へ転じた。食品分野でも特に生鮮食品の4月の価格上昇率は前年同月比5.9%と、3月の4.7%上昇からさらに加速し、家計への負担増が懸念されている。

(平川容子)

(イタリア、中東)

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