タイ政府、南部ランドブリッジ構想を推進、シンガポールも関心

(タイ、シンガポール)

バンコク発

2026年05月01日

タイのアヌティン・チャーンウィラクン首相は4月27日、シンガポールを訪問し、チャン・チュンシン国防相兼公共サービス調整相と会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同会談では、タイ南部のインフラ計画「ランドブリッジ構想」の推進についても議論され、アヌティン政権が構想実現に意欲を示していることから、両国国内での関心が高まっている。

ランドブリッジ構想は、タイ南部のチュムポーン港(タイ湾)とラノーン港(アンダマン海)を、高速道路や鉄道などで結ぶインフラ計画だ(タイ運輸省交通政策計画局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。実現すれば、既存のマラッカ海峡ルートの混雑を回避できる。チャン・チュンシン国防相は、この計画が、新たな経済機会の創出、安全保障の強化、そして地域全体の発展につながるとして関心を示した。一方、アヌティン首相は、計画実現には、官民双方による多大な投資と協力に加え、国際的なパートナーの協力が必要と強調した。

タイのピパット・ラチャキットプラカーン副首相兼運輸相は、中東ホルムズ海峡の情勢を踏まえた航路多角化などの重要性から、総工費約1兆バーツ(約5兆円、1バーツ=約5.0円)規模とされる本計画について、6~7月に閣議へ提案し、年内に計画実施のプロセスに入る予定であると述べた(「ネーション」紙4月25日付)。

一方、同紙によれば、ランドブリッジ構想による新たなルートでは、マラッカ海峡ルートにはない荷物の積み降ろしが必要なため、輸送時間の大幅な短縮にはつながらないとの指摘もある。これに対して、ピパット運輸相は、世界のコンテナ輸送の9割超が積み替えを伴うと主張している。しかし、環境面では、港湾建設予定地における生態系への影響が懸念されており、その被害予測について政府と専門家との間に大きな乖離(かいり)があることから、環境・健康への影響評価が不十分であるとの指摘が関係者から上がっている(「バンコク・ポスト」紙4月25日付)。

(藪恭兵)

(タイ、シンガポール)

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