米カリフォルニア州、多国籍企業の法人税の水際選択方式廃止にかかる法案が下院委員会通過

(米国)

サンフランシスコ発

2026年05月13日

米国カリフォルニア(CA)州議会では、海外子会社の利益を法人税の合算対象から除外できる多国籍企業向けの「水際選択方式(ウォーターズ・エッジ・エレクション)、注」を段階的に廃止し、世界合算課税へ回帰させる法人税法改正案(AB1790)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが州下院歳入委員会を通過した。今後、州下院本会議、州上院歳入委員会、州上院本会議などの審議が続く見通し。

法案は、2028年1月1日以降の課税対象期間における水際選択方式の全面終了に加え、2026~27年の経過措置、海外無形低課税所得(GILTI)の取り込み強化など、多国籍企業を中心に影響が及ぶ可能性がある。

法案を提出したデイモン・コナリー議員(民主党)らは、労働組合や環境団体からの支持を受け、水際選択方式が多国籍企業による租税回避を助長してきたと批判し、「課税の公平性の回復」を法案の目的に位置づけた。背景には、多国籍企業が水際選択方式によって海外所得を課税対象から除外している状況を見直し、法人税の課税ベースを拡大したいという見方がある。

一方で、法案提出以降、産業界のロビー活動が活発化し、国際課税や他国によるCA州企業への報復措置、他州への企業流出などを懸念する声が相次いだ。CA州商工会議所(Cal Chamber)は4月14日、同法案に対する公式な反対声明を表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今後も審議が続くものの、法案が成立した場合、日本を含む多国籍企業は、税務戦略の見直しを迫られる可能性がある。特に、CA州以外の多くの米国の州では、水際選択方式が主流であることから、州間での課税ベースの制度の違いが生じる。連邦、国際的な租税ルール形成に与える影響も含め、審議の行方が注視されている。

(注)法人税の課税方式は全世界合算課税が原則であるところ、CA州で多国籍企業が法人税を計算する際に、主に米国内に帰属する収益のみを基準に州税の課税所得を算定できる制度。

(芦崎暢)

(米国)

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