アラムコ、量子コンピュータの正式運用を開始
(サウジアラビア、フランス)
リヤド発
2026年05月22日
サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコ(以下、アラムコ)は5月18日、中性原子方式量子コンピュータ(注1)分野を牽引するフランス企業パスカル(Pasqal)と提携し、量子コンピュータ(注2)の正式運用を開始した。
アラムコによると、量子コンピュータの稼働はサウジアラビアで初めてだという。サウジアラビア東部ダーランにあるアラムコのデータセンターに設置された同量子コンピュータにより、専門知識の構築と、エネルギー、素材、産業分野における量子アプリケーション開発を加速する。
アラムコはまた、同コンピュータを基盤とした商用サービス(Quantum Computing as a Service: QCaaS)プラットフォーム(注3)も公開した。同社によると、このプラットフォームは中東初だという。
アラムコの技術・イノベーション担当執行副社長アフマド・アル・コウェイター氏は「これらの専門知識は、次世代のエネルギーソリューションを牽引し、低炭素燃料開発を加速させるとともに、油田・ガス田の最適化とサプライチェーンの効率化に貢献する」と述べた。また、パスカルの最高経営責任者(CEO)ワシク・ボハリ氏は「今回の稼働は、世界中で困難な産業上の課題が、パスカルの量子プロセッサ、ソフトウエア、および専用ソリューションによって解決される可能性を示す」とコメントした。
アラムコの国内ベンチャー部門であるワイードベンチャーズ(Wa’ed Ventures)は、2023年1月にパスカルへの出資を行い、先進的な量子技術の現地化と、地域における量子エコシステムの発展加速に向けた取り組みを強化している。この出資以降、アラムコとパスカルは量子コンピューティングプログラムを立ち上げ、港湾物流や二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)、坑井配置の最適化、掘削装置のスケジュール管理など課題の特定と解決に取り組んでいる。
(注1)レーザー光を使用して、電荷を持たない「中性原子」を空中に並べ、それを情報の最小単位「量子ビット」として操作するコンピュータ。
(注2)情報の最小単位「量子ビット」を使用する新世代のコンピュータ。従来型に比べてより効率的に処理できると期待されている。
(注3)量子コンピューティング機能へのリモートアクセスを可能にするクラウドプラットフォーム。
(平田若菜)
(サウジアラビア、フランス)
ビジネス短信 048e7303897e7f32





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