ハンガリー議会総選挙、新興野党ティサが3分の2以上の議席獲得、政権交代実現へ
(ハンガリー)
ブダペスト発
2026年04月16日
国際的にも注目を集めたハンガリーの議会(一院制)総選挙が4月12日に行われた。国家選挙管理委員会のウェブサイト上の集計結果(注1)によると、新興野党「尊重と自由」(ティサ)が199議席中138議席を獲得した。これで同党による政権交代が実現することとなり、憲法改正が可能な3分の2以上の議席数を確保した。2010年以来16年間にわたり政権を維持してきたハンガリー市民同盟(フィデス)/キリスト教民主国民党(KDNP)連合は55議席にとどまり、野党に転落した(添付資料表参照)。投票率は79.56%と、1990年の民主化以来の最高水準を記録した。
今回の議会選挙では、議席獲得に必要な有効投票数の5%に達した政党はわずか3党のみであり、内訳はティサが53.07%(全国比率区の45議席に相当)、フィデス/KDNP連合が38.43%(同42議席)、「われわれの祖国」が5.83%(同6議席)となった。一方、小選挙区については、ティサが106議席中93議席を獲得し、フィデス/KDNP連合はわずか13議席にとどまった。なお、マジャール・ペーテル党首が率いるティサは、右派的立場を取りながらも、反政府票を幅広く集約し、従来の左派野党勢力〔例:民主連合(DK)〕を吸収・置換する結果となった。
今回の選挙の世論調査における事前の結果予測は、調査機関によって大きな違いがみられた(注2)。政府系調査機関の予測が大きく外れた背景として、ティサの動員力、とりわけ30歳未満の若年層や政府批判派の投票意欲の高まりを過小評価していたことが考えられる。また、今回の選挙戦はこれまで以上に激しく、屋外広告やソーシャルメディアでの発信がいずれも前例のない規模に達した。
今回ティサは、汚職対策の徹底、EU基金の凍結解除による財源確保、教育と医療の改善などを中心テーマとして選挙戦を展開した。一方、フィデス/KDNP連合は、対外情勢を踏まえた「平和重視」の姿勢、エネルギーの価格上昇の抑制および供給安定、家族・住宅支援策の継続を主要な訴えとした。
選挙結果を受け、マジャール氏は4月12日夜、「今日、ハンガリーは歴史を刻んだ」と述べた。同氏は、権力分立の仕組みの回復、国家の民主的な運営、そしてEUやNATOとの関係修復などを約束し、速やかな政権移行の準備に入る意向を示した。一方、敗北したオルバーン・ビクトル首相は、勝利したティサを祝福しつつ、野党になっても祖国とハンガリー国民に尽くすと約束し、決して諦めないとも語った。
(注1)4月13日午前10時(ハンガリー現地時間)時点での開票率98.94%の集計結果。
(注2)政府寄りの調査機関とされるネーゾーポントは4月3日公表の予測で、フィデス/KDNP連合が109議席を獲得するとした一方、独立系世論調査会社のメディアンは4月8日公表の予測で、ティサが138~143議席を獲得すると予測した。
(バラジ・ラウラ)
(ハンガリー)
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