米消費者の金融耐性が二極化、リテールは戦略転換が重要に、信用情報大手の分析

(米国)

ニューヨーク発

2026年04月09日

米国信用情報大手のエキファックスは4月7日、家計の財務健全性を分析した2025年第4四半期「マーケット・パルス・レポート」を公開PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。本レポートは、同社が保有する資産・負債・信用データを基に構築されており、信用・負債・所得・支払い能力・資産の5つの主要指標を統合して、消費者の金融耐性を1~100のスコアで可視化するもの。

同レポートによると、第4四半期の全米平均は61.6と前期からほぼ横ばいで推移したものの、「ブームセッション」経済と呼ばれる、高水準の成長と家計の苦境が共存する状況下では、「平均値」だけでは、もはや全体像を捉えきれなくなっているとし、消費者層の構造的な乖離の拡大を指摘している。資産(特に住宅資産)を活用して経済変動の影響を吸収できる指数80以上の上位層のシェアは2023年中盤以降、7.96%から10.47%(2.51ポイント増)に上昇した。一方、指数49以下の下位層のシェアも19.07%から21.08%(2.01ポイント増)に上昇し、物価上昇と債務負担の影響を強く受けている。上位・下位層がそれぞれ増加する中で、中間層(指数50~79)のシェアは72.97%から68.45%(4.52ポイント減)に縮小するとともに、この層において、より上位にシフトする層とより困難に直面する層とに二極化する動きも見られている。

世代別にみると、Z世代(1997~2012年ごろ生まれ)は上位層の伸びが74%増と最も大きい。ただし、全体としてのスコアは60を下回る水準で2024年以降ほとんど変化しておらず、高いスコアを持つ者の人数自体はかなり限定されている可能性があるほか、家族の資産を背景として見た目上、数値が高く出ている可能性がある点にも留意が必要だ。X世代(1965~1980年ごろ生まれ)は、各層の増減率は全世代平均と同程度となっている。この世代の全体スコアは、ミレニアル世代(1981~1996年ごろ生まれ)以下よりも高めの水準となっており、住宅資産など家計の基盤の形成に成功した者が増えていることが影響している可能性がある。ただ、生活コスト上昇に挟まれる「サイレント・スクイーズ」を感じる下位層の増加率が世代別で最も高く、二極化が最も顕著な世代といえる。資産形成を既に終えている高齢者世代は、比較的安定を維持しており、各層の増減率も最も小さかった。

こうした消費者層の二極化の環境下で、金融機関や小売企業などリテール部門には戦略転換が求められる。同レポートでは、今後の指針として次の3点を提言している。まず、従来の信用情報だけでなく資産や総合的な支払い能力を踏まえた精緻なセグメンテーションが不可欠となる。金融耐性が高い層を特定し、成長機会を的確に捉える必要がある。次に、Z世代については、所得のばらつきが大きいことを踏まえ、画一的な世代分析ではなく個別最適化された関係構築へと移行する必要性が高まっている。最後に、全世代で経済的圧力が強まる中、苦境にある層と安定層を正確に見分けることが、精緻なリスク管理のカギとなり得ると指摘した。

(加藤翔一、樫葉さくら)

(米国)

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