シンガポール通貨金融庁が金融政策を引き締め、中東情勢悪化でインフレ圧力

(シンガポール、中東)

シンガポール発

2026年04月15日

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は4月14日、金融政策引き締めへの転換を発表した。MASの金融政策引き締めは、2022年10月以来となる。また、同庁は中東情勢悪化に伴うエネルギー価格上昇を受け、消費者物価指数(CPI)上昇率の公式予測を引き上げた。

MASは金融政策の手段として政策金利を設定せず、四半期ごとにシンガポール・ドル(Sドル)の名目実効為替レート(NEER)の誘導目標(政策バンド)を定める独自の金融政策を採用している。今回の金融政策見直しでは、SドルNEERの誘導目標帯の傾斜幅を「若干引き上げる」とSドル高へと誘導する方針を発表した。目標帯の幅と中心値の水準は変更しないとしている。

MASは2026年通年のCPI上昇率とコアインフレ率(注1)の予想を、これまでの「1.0~2.0%」から、「1.5~2.5%」に引き上げた。同庁は、輸入エネルギー価格が既に上昇していると指摘。「今後数四半期で、幅広い輸入品とサービスの価格が上昇する見通しだ」と述べた。

第1四半期のGDP成長率は速報値で前年同期比4.6%

また、貿易産業省(MTI)は同日、2026年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が速報値で前年同期比4.6%だったと発表した(注2)。季節調整済みの前期比ではマイナス0.3%と、前期の1.3%からマイナスに転じた。

MTIは発表の中で、2026年第1四半期のGDP成長率は堅調だったものの、「2月末に始まった米国・イスラエルとイランの紛争が向こう数四半期の経済活動に影を落とす可能性がある」と指摘した。またMASも、国内経済成長率が2026年後半に減速すると見込んでいる。

MTIは5月中旬に第1四半期GDPの改定値を発表する予定だ。

(注1)コアインフレ率は、総合消費者物価指数から住宅関連費と自家用道路交通関連費を除いたもの。

(注2)2026年第1四半期のGDP成長率は、同年1~2月の統計に基づく速報値。

(本田智津絵)

(シンガポール、中東)

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