ポーランド、デュアルユース商工会議所が発足、官民連携基盤を整備へ
(ポーランド)
ワルシャワ発
2026年04月01日
軍民両用(デュアルユース)技術および安全保障分野における官民・国際連携の基盤となる「ポーランド・デュアルユース商工会議所(Polska Izba Dual Use、以下PIDU)
」の設立式が3月30日、ワルシャワ市内で開催された。主催者発表では、当日は約250人が参加し、すでに100社以上が加盟意向という。
国際的な緊張の高まりを背景に、ポーランドを含む欧州諸国では防衛支出が拡大している。ポーランドでは2026年にGDP比で4.83%となる2,010億ズロチ(約8兆6,000億円、1ズロチ=約43円、3月30日ポーランド国立銀行為替レート)の防衛支出が見込まれる。こうした中、PIDUは国内外の企業、研究機関、政策関係者を結び付ける組織として発足した。イノベーションの促進や国際サプライチェーンへの参入支援、政策形成への関与などを通じ、デュアルユース分野の発展を後押しすることを目的とする。
PIDUの機能としては、公共調達制度や規制に関する情報提供、レポート作成、企業間マッチメイキング、国際展開支援などが挙げられた。また、初年度の具体的施策として、国際会議の開催、デュアルユース技術の整理と優先分野に関する提言、知識共有を目的とした「PIDUアカデミー」の立ち上げ、海外ミッションの実施などが予定されているという。
ポーランドでは、防衛支出の拡大やサプライチェーン再編を背景に、技術・産業・資本の連携を通じた能力構築が重視されている。こうした状況下で、PIDUは官民および国際的な接続を担うプラットフォームとして位置付けられる。
設立式では、カロル・ナブロツキ大統領のメッセージが代読され、国内におけるデュアルユース分野のエコシステム形成が国家安全保障の強化に直結するとの認識が示された。また、米国国防総省・防衛イノベーションユニット(DIU、注)のティモシー・オッテン氏との対談では、「商用由来技術の迅速な導入」をテーマに、民間技術の防衛分野への適用に関する実践的アプローチが共有された。
そのほか、PIDUはポーランド商工会議所、カジミエシュ・プワスキ財団および東方前線研究所(Eastern Flank Institute)との間で了解覚書(MOU)を締結した。これにより、産業界と政策コミュニティーを横断した連携体制の構築が打ち出された。
ポーランド・デュアルユース商工会議所の設立式(ジェトロ撮影)
(注)商業技術およびデュアルユース技術を、迅速かつ大規模に国防分野へ導入することに特化した国防総省唯一の組織。カリフォルニア州シリコンバレー(マウンテンビュー)に本部を置き、テキサス州オースティン、マサチューセッツ州ボストン、イリノイ州シカゴ、首都ワシントン(国防総省本部、ペンタゴン)に拠点を有する。
(金杉知紀)
(ポーランド)
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