トランプ米政権、2027会計年度の予算教書を発表
(米国)
ニューヨーク発
2026年04月07日
米国のトランプ政権は4月3日、2027会計年度(2026年10月~2027年9月)予算教書
を発表した。簡単な概要のみが発表された前年
と比べて、裁量的支出に関する内容は具体的で包括的になっているが、(1)歳出の約6割を占める社会保障費やメディケア・メディケイドといった大部分の義務的経費、(2)将来年度にわたる主要なプログラムごとの歳出見通し、(3)歳入見通し、(4)これらを含めた財政収支などは公表されていない。
今回の予算教書で示された主な内容は次のとおり。
(1)国防費
国防費として1兆5,040億ドル(2026年度予算比44%増)を要求した。このうち、重要な弾薬へのアクセス拡大や防衛産業基盤のさらなる拡大に充てる3,500億ドル分については、「義務的経費」として位置付け、財政調整措置(Reconciliation、注1)の対象として単純過半数で議会承認されるよう取り扱いたい意向だ。義務的経費以外の部分では、ミサイル防衛システムであるゴールデン・ドームへの投資や、「トランプ級戦艦」をはじめとするゴールデン・フリート建造のための初期資金の拠出などが含まれる。
(2)非国防費
非国防費に関しては、6,600億ドル(同10%減)を要求した。特にグリーン分野や対外援助は削減対象として明示されており、これに沿って環境保護庁(EPA、52.4%減)や農務省(19.0%減)、内務省(12.9%減)、エネルギー省(原子力や重要鉱物を除く、11.2%減)、国務省(30.4%減)などの予算が大きく削減されている。このほかにも、政権が「多様性、公平性、包摂性(DEI)」に関連すると考えるプログラムなども廃止・削減対象となり、労働省(25.9%減)や保健福祉省(12.2%減)などの予算も同様に大幅減となっている。
他方、労働力育成を担う「米国を再び熟練労働者の国に(Make America Skilled Again)」プログラムやペル奨学金(職業訓練を受ける者に対する職業ペル奨学金を含む、注2)、ベースロード電源の確保(注3)、重要鉱物の生産・確保、税関・国境警備局(CBP)、移民・関税執行局(ICE)、麻薬取締局(DEA)など国境措置を担当する部門の強化といったプログラムには予算が増額されている。
(注1)財政調整措置を活用すると、当該予算決議において1回に限り、義務的経費の一部や歳入、法定債務上限に関する変更について、上院でフィリバスター(議事妨害)を回避し、単純過半数で採決を実施できる。トランプ政権下で2025年に成立した大きく美しい1つの法案法(OBBBA)や、バイデン前政権下で成立したインフレ削減法(IRA)などの採決ではこの手法が活用された。
(注2)「米国を再び熟練労働者の国に(Make America Skilled Again)」はドナルド・トランプ大統領が提唱する技術職や熟練工の育成・確保に向けた施策。ペル奨学金(Federal Pell Grant)は、米国の連邦政府が経済的必要性の高い大学生に支給する、返還不要の給付型奨学金のこと。
(注3)季節や天候、昼夜を問わず安定的かつ継続的に発電できる電源のこと。発電コストが比較的安価な原子力や石炭火力、水力が主に該当する。
(加藤翔一)
(米国)
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