中国、AIによる擬人化コミュニケーションに関する法令を公布

(中国)

北京発

2026年04月14日

中国の国家インターネット情報弁公室など5部門は4月10日、「人工知能擬人化双方向サービス管理暫定弁法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公布した。7月15日から施行される(注1)。

人工知能(AI)技術を利用し、中国域内の公衆に対し、自然人の人格的特徴、思考様式やコミュニケーションスタイルを模倣した継続的な双方向の感情的サービスを「擬人化双方向サービス」とし、これらサービスを提供する場合に本弁法を適用する(注2)。

本弁法第2章では、サービスの促進と規範を定めており、促進の面では技術革新を支援し、擬人化双方向サービスの技術研究や開発、関連する基準の整備を推進するとともに、電子署名・認証の応用研究の展開を模索するとしている。また、擬人化双方向サービスの提供者に対し、文化の発信、幼児向けケア、高齢者向け付き添い、体の不自由な人への支援などの分野における応用を秩序立てて拡大することを奨励するとした。他方で、規範については、中国の安全や名誉、利益を害する内容の生成、国家政権や社会主義体制の転覆を扇動する内容などを禁止するとした。ほかには、ユーザーの身体的健康を損なう内容やユーザーの人格的尊厳や精神的健康を損なう内容、組織・個人の機密情報を詐取する内容の生成を禁止とするとした。

サービス提供者に対しては、管理体制の整備と確立が求められるとともに、ユーザーとのサービス契約の締結、ユーザー登録(注3)の実施が必要とされた。その上で、サービス提供者は、ユーザーに極端な感情がみられることを発見した場合、速やかに感情の安定化や支援を求めるよう促すなど対応が求められた。また、利用者が重大な財産的損失に直面している、あるいは既に被っている場合や、自傷や自殺など生命や健康を脅かす極端な状況にあることを明確に示している場合、適切な支援の提供など必要な措置を講じて介入し、速やかにユーザーの緊急連絡先などに連絡しなければならないとした。そのほかに、未成年者や高齢者の保護に関する規定も定められた。

国家インターネット情報弁公室は4月10日、同弁法に関する解説を発表した。解説では、擬人化双方向サービスは高齢化社会の課題への対応、心理的ケアの提供などの面で価値を発揮している一方、過度な依存や健康への影響といった安全リスクももたらしていると指摘した。また、EUや米国で擬人化双方向サービスに係る制度構築が模索されてきたことを背景に、本弁法制定は世界に対して中国の解決策を提示するものであると解説した。

(注1)本弁法制定にあたっては、2025年12月から2026年1月にかけて意見募集が行われていた。

(注2)双方向の感情的サービスには、文字、画像、音声、動画などの形式を通じて提供される感情的なケア、付き添い、支援などの双方向のコミュニケーションによるサービスの提供が含まれる。なお、AIカスタマーサービス、Q&A、業務アシスタント、学習・教育、科学研究などのサービスを提供する場合で、継続的な双方向の感情的コミュニケーションに関連しないものは本弁法の適用対象外となる。

(注3)ユーザーの年齢、保護者または緊急連絡先などの情報を登録することとしている。

(亀山達也)

(中国)

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