タイ中銀が政策金利を据え置き、不確実性に引き続き注視

(タイ、中東)

バンコク発

2026年04月30日

タイ中央銀行(BOT)は4月29日、金融政策委員会(MPC)を開催し、全会一致で政策金利を1.00%に据え置くことを決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。前回会合まで2会合連続で引き下げていた。

BOTの発表によると、中東紛争以降、生活コストの上昇と家計の購買力の低下により民間消費は下押しされているほか、航空運賃の上昇や航空便数の減少により外国人観光客数の減少が予想されるため、2026年と2027年の経済成長率は前年比1.5%と2.0%に減速すると見込んだ。一方、財輸出については、世界的な人工知能(AI)需要を支えに堅調に拡大しているほか、政府による景気刺激策が実施される場合、2026年の経済成長率が予想を上回る可能性を指摘した。

総合インフレ率については、世界的なエネルギー価格の上昇や価格転嫁を受け、2026年は第1四半期のマイナス0.5%から上昇し、年平均2.9%になることを予測。当面の間は、インフレ目標範囲(1~3%)の上限を上回るものの、供給側の圧力が徐々に弱まり2027年には平均1.5%に落ち着くと予想した。需要が弱い状況下では価格転嫁が限定的となり、価格上昇が広範囲に及ぶことや持続することはなく、中期的な期待インフレ率は目標範囲内にとどまると分析した。

そのほか、中東情勢をめぐる不確実性の高まりにより、タイの国債利回りは世界市場の動きに合わせて上昇している。一方、タイはエネルギー輸入における中東依存度が高いことから、為替相場はバーツ安方向に進んでいると指摘。また、これまでの政策金利の引き下げを受け、金融システムの金利は低下しているものの、金融機関は高リスクの借り手に対して慎重な姿勢を維持していることなどから、全体的な与信の伸びは引き続き抑制されると予測した。

MPCは、現在の政策金利が経済回復を支援するために適切な水準にあるとして据え置きを決定し、また、不確実性が依然高いことから、今後のインフレリスクに対する中東紛争や政府の景気刺激策などの影響を引き続き注視するとした。

(野田芳美)

(タイ、中東)

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