石油化学製品の供給に懸念高まる、製品や輸送費の高騰も重しに

(ベトナム、中東、日本)

ハノイ発

2026年04月07日

中東情勢の悪化に伴うナフサ供給の不安定化を受け、ベトナムに進出している日系企業の間では、石油化学製品の供給不安やコスト上昇に対する懸念が高まっている。ベトナムでは、石油化学産業が未発達であり、基礎化学品に加えそれらから生成される誘導品(樹脂、塗料、溶剤など)を含め、製造工程で使用される石油化学製品の大半を輸入に依存している。

ジェトロが在ベトナムの日系商社にヒアリングしたところ、現在では、おおむね1~3カ月分の在庫で対応しているものの、世界的なナフサ不足や供給制約の影響を受け、川上の供給が先細ることから、それ以降の供給見通しは不透明とする声が多い(ヒアリング日:3月30日~4月2日)。輸出向け・国内向けを問わず、川下の製造工程への影響が懸念される。

中東産の原油に強く依存する構造は、日本や他のASEAN諸国にも共通しており、ナフサの調達先が中東に依存している場合、今後も供給制約が生じる可能性がある。加えて、前述のとおり、ベトナムでは石油化学の産業基盤が十分に発展しておらず、基本的に、特定の樹脂や溶剤といった誘導品は、国外から調達する必要がある。このため、国内での代替調達は難しく、対応余地は限られる。

こうした原材料不足に加え、石油化学製品の価格高騰や、燃料高に伴う輸送費の上昇も企業経営の重しとなっている。主な企業のコメントは次のとおり。

  • 今のところ在庫を供給しているが、川上の原料から供給途絶の懸念が高まっている。原料の調達先により、見通しは異なる(商社A)。
  • ベトナムの石油化学産業は、加工組み立てなど後工程が多く、構造的に脆弱(ぜいじゃく)性がある。しかし、日本やASEAN他国の原料も中東に依存し、供給が不足するため、今回の事象で、ベトナムと周辺国とで調達の困難さに大きな差はないと考える(商社B)。
  • 輸送費は既に、通常の1.5~2倍で、新型コロナ禍以来の厳しい状況(商社C)。
  • 輸入調達品は、原材料と海上運賃の影響により、通常の2倍に高騰している(商社D)。
  • コスト上昇分は、今後2~3カ月で末端価格に転嫁されると予測(商社E)。

(萩原遼太朗)

(ベトナム、中東、日本)

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