バングラデシュでカーボンクレジットを創出、事業開発のアジクルに聞く
(バングラデシュ、日本)
企画部企画課
2026年04月14日
マイクロファイナンスなどの事業を展開するアジクル(本社:横浜市)は、バングラデシュで農業分野を中心としたカーボンクレジット創出事業を展開する。渡辺太一代表取締役に、バングラデシュでの事業展開や今後の方針について聞いた(ヒアリング日:3月23日)。
アジクルの渡辺太一代表取締役(同社提供)
2016年に渡辺氏が創業した同社は、マイクロファイナンス、マイクロ保険を中心に、バングラデシュを主軸とした新興国での事業開発・進出支援を行う。現地では、地場財閥UGIグループおよびマイクロファイナンス機関オントル・ソサエティー・フォー・デベロップメント(ANTAR Society for Development、以下ANTAR)と連携し、ANTARが展開する全国規模の農業をはじめとしたさまざまな産業向け投融資ネットワークに加え、IT、通信、食品など、UGIが財閥グループとして有する広範なビジネスリソースを活用できる体制を構築している。
同社は近年では、稲作の間断灌漑(AWD)農法の普及とデジタル営農管理を組み合わせ、農業由来の温室効果ガス削減量を可視化し、カーボンクレジットとして創出する取り組みを進めている。これにより、農業の脱炭素化と農家の所得向上を両立させるビジネスモデルの構築が可能となる。また、水使用量削減や生産性向上といった副次的効果も期待されている。
同社によると、バングラデシュ国内では数万~5万ヘクタール規模でのカーボンクレジット創出事業の実現が視野に入っており、将来的には全国展開も検討する。創出されたクレジットの一部は、日本政府が推進する2国間クレジット制度(JCM)との連携を想定しており、残りは民間市場で流通させるモデルを検討する。日本政府は地球温暖化対策計画
により、グローバルサウス諸国などへの技術普及や対策実施を通じてJCMによる官民連携を実施し、2030年度までの累積で1億トンCO2、2040年度までの累積で2億トンCO2規模の国際的な排出削減・吸収量の確保を目標に掲げており、農業分野を含む新たな案件形成への期待が高まっている。
またアジクルは、横浜商工会議所のアジア展開アドバイザーとしての活動実績があり、食品、農業関連企業などへの進出支援・相談対応も行う。渡辺氏は「バングラデシュについては直近2~3年で、輸出志向から内需開拓も見据えた事業開発の相談が増えてきた。スターリンクの供用開始、官民クラウドデータセンターの運用開始などITインフラは既に発展しており、DX(デジタルトランスフォーメーション)を組み込んだ事業体制を採用できるのが同国の魅力だ。親日度も高く日本企業にとって良好な事業環境が醸成されている。日本の技術・知見を1億7,000万人の市場に生かしてほしい」と話す。
(安藤裕二)
(バングラデシュ、日本)
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