スペイン首相訪中、首脳会談通じて19件の合意も事後の両国発表には温度差
(スペイン、中国)
マドリード発
2026年04月28日
ペドロ・サンチェス首相は4月13日から15日にかけて、中国側の招待により北京を訪問し、14日には習近平国家主席、李強首相、趙楽際・全人代常務委員長と相次いで会談した。2023年以降4回目の訪中となる今回の狙いは比較的明確だ。スペインとしては、膨らんだ対中貿易赤字の是正を求める一方、グリーン分野で雇用や技術移転を伴う中国の対スペイン投資を誘致。中国側も今回の訪問を、陣営対立や経済の分断を回避し、スペインに対欧州協力の推進役としての役割への期待感を伝える機会と位置付けた。
スペイン政府によると、首脳会談を通じて双方は計19件の合意に達した。なかでも象徴的なのが、外相級のハイレベル戦略的外交対話の枠組み創設である。経済面でも、投資促進やスペインの製品やサービスの中国への市場アクセス改善に関する枠組みが整えられた。農産品分野では、中国市場へのアクセス拡大が前進し、ピスタチオ、乾燥イチジク、豚由来たんぱく質、加熱豚肉製品、動物性たんぱく肥料などの対中輸出拡大に道を開いた。あわせて、地理的表示(GI)の保護強化や、鳥インフルエンザなど家畜伝染病における衛生協力も盛り込まれた。
スペインは中国からの投資期待の一方、中国は対欧州協力の推進役を期待
スペイン側の経済上の主眼は、貿易赤字の74%を占める対中貿易赤字の是正と、クリーン、デジタル分野における現地雇用、技術・知識移転、スペインの生産基盤やバリューチェーンの強化を伴う「質の高い投資の誘致」にある。こうした流れの中、奇瑞汽車は20日、バルセロナでの生産計画を進めるのと並行して、同地に欧州事業の統括機能を置く方針を発表した。蓄電池メーカーの海辰儲能(HiTHIUM)も15日、ナバラ州政府と定置用蓄電システム(BESS)・セル工場の建設計画を進める投資コミットメントに署名した。
一方で、会談後の両国発表には温度差が残る。スペイン側がEU・中国関係の橋渡し役や、より均衡の取れたルールベースでの経済関係を前面に出したのに対し、中国側は、政治的相互信頼の強化や欧州との相互理解・協力の深化をより強く打ち出した。サンチェス首相は米国とイスラエルによる対イラン攻撃を違法と批判している。今回の訪中は、そうした立場を踏まえ、多国間主義と国際法重視をあらためて対外的に打ち出す機会ともなった。
(伊藤裕規子)
(スペイン、中国)
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