海上封鎖巡り米国とイランが対立、イスラエルとレバノンは停戦協議を継続へ

(米国、イラン、イスラエル、レバノン、中東)

テルアビブ発

2026年04月23日

米国のドナルド・トランプ大統領は4月21日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、米国とイランの停戦延長を表明した(2026年4月22日記事参照)後に、もう1件、投稿し、イランに出入港を行う全船舶に対する米国の封鎖措置について言及した。この中で、トランプ大統領はイランが財政的に極めて厳しい状況に直面し、ホルムズ海峡の即時開放を求めているとの認識を示した。その上で、米国による海上封鎖によりイランは1日当たり約5億ドルの損失を被っていると主張し、この措置が対イラン交渉における有効な圧力として機能しているとの見方を示した。

画像 海上封鎖のイラン経済への影響に関するトランプ米大統領のSNS「トゥルース・ソーシャル」でのコメント画面(トゥルース・ソーシャルのトランプ大統領の公式アカウントより)

海上封鎖のイラン経済への影響に関するトランプ米大統領のSNS「トゥルース・ソーシャル」でのコメント画面(トゥルース・ソーシャルのトランプ大統領の公式アカウントより)

イランの保守強硬派メディアであるタスニム通信(4月22日付)によると、イラン政府は停戦延長に関する正式な発表はしていないという。他方、政治指導部からは個別の発信が相次いだ。イランのマースード・ペゼシュキヤーン大統領は同日のX(旧Twitter)への投稿で、イランは一貫して対話と合意を歓迎しており、その姿勢は現在も変わらないとした上で、「約束の不履行、封鎖、そして脅しこそが、真の交渉に対する主な障害だ」と指摘した。米国の対応について、「主張と行動の間にある矛盾や、終わりのない偽善的な言動を世界は見ている」と述べ、停戦延長を掲げながら経済・海上面での圧力を続ける姿勢に強い不満を示した。

画像 米国の対応に関するイランのペゼシュキヤーン大統領のコメント画面〔X(旧Twitter)のペゼシュキヤーン大統領の公式アカウントより〕

米国の対応に関するイランのペゼシュキヤーン大統領のコメント画面〔X(旧Twitter)のペゼシュキヤーン大統領の公式アカウントより〕

イランのモハンマド・バーゲル・ガリバフ国会議長も同日のXへの投稿で、「完全な停戦が意味を持つのは、海上封鎖や世界経済を人質に取る行為によって停戦が侵害されず、イスラエルによる軍事行動が全ての戦線で停止された場合に限られる」とした上で、停戦が守られていない状況下でのホルムズ海峡の再開は不可能だとの立場を示し、米国やイスラエル側を牽制した。

こうした発言と並行して、タスニム通信は同日、イラン革命防衛隊(IRGC)がホルムズ海峡周辺で航行規則違反を理由に商船2隻を拿捕したと報じた。

一方、レバノンとイスラエルでは外交的な協議が継続している。「タイムズ・オブ・イスラエル」紙(4月22日付)によると、両国は4月23日、米国仲介の下、ワシントンで2回目の協議を行う予定だ。レバノンのジョセフ・アウン大統領は22日、「停戦期間の延長に向けた接触が進められている」と述べた。イスラエルのギデオン・サール外相は同日、レバノンとの直接交渉は40年以上ぶりの「歴史的な決断」だと述べつつ、レバノン政府に対し、同国南部に拠点を置くヒズボラへの対応での協力を求めた。

米国務省は4月16日、イスラエルとレバノンが10日間の敵対行為停止で合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし(2026年4月17日記事参照)、米国は地域の安定と安全確保に向けた支援を継続する方針を示している。

イスラエルの軍事衝突の関連情報は、イスラエルとハマスの衝突の特集イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報を参照。

(中溝丘)

(米国、イラン、イスラエル、レバノン、中東)

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