カスト大統領、初の国民向け演説で成長重視の経済改革を表明

(チリ)

サンティアゴ発

2026年04月17日

ホセ・アントニオ・カスト大統領は4月15日夜、就任後初となる国民向けテレビ演説を行い、政権発足後1カ月間の成果と、今後議会に提出予定の「経済社会復興・開発法案」の骨子を示した。同大統領は、治安悪化と低成長を「喫緊の危機」と位置付け、経済成長は国民の生活を向上するための手段であると強調し、成長重視の経済改革を行う意向を表明した。

政権発足後の実績として、国境管理強化による不法入国の減少、治安対策の強化、がん医療の待機問題への緊急対応、国家全体を対象とした包括監査の開始、歳出抑制と省庁予算の調整を挙げた。また、就任後最初の4週間で約200億ドル規模の32件の投資案件が環境影響評価制度に申請された点を強調し、投資環境に改善の兆しが出ていると指摘した。

今後の柱となる経済社会復興・開発法案は、次の5本柱で構成される。

  1. 税制競争力の向上:法人税率を27%から23%へ段階的に引き下げ、二重課税の解消や長期投資に対する税制安定化措置を通じ、投資と雇用創出を促進。
  2. 正規雇用の拡大:低所得労働者を雇用する企業への給与支払額に応じた税額控除(付加価値税や法人税からの控除)を導入。
  3. 規制緩和:環境影響評価の迅速化、新築住宅販売に対する時限的な付加価値税免除。
  4. 法的・制度的確実性の確保:長期投資向けの税制安定措置や海外流出資本の還流促進。
  5. 公共支出の抑制:公務員の早期退職奨励、医療休暇の不正利用対策の強化。

同大統領は、低成長と公的債務増大の背景として過去の政策を批判し、2030年までに年率約4%の経済成長を達成し、失業率を6.5%まで引き下げるとの目標を掲げた。治安強化と市場重視の経済政策を前面に打ち出す新政権の動向は、今後のチリにおける投資環境の行方を占う上で注目される。

(橋爪優太)

(チリ)

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