瀋陽市で年産50万トン級のバイオグリーンメタノールプロジェクトが着工

(中国)

大連発

2026年04月22日

中国能建集団が投資する中国初の年産50万トン級となる、風力・太陽光発電による水素製造とバイオマスを融合したグリーンメタノール燃料の実証プロジェクトが4月10日、遼寧省・瀋陽市康平県に位置する瀋陽生物化工産業園において着工した(注1)。本プロジェクトの始動は、中国における水素系液体燃料産業が、実証段階から本格的な大規模展開段階へ移行したことを示す重要な節目と位置付けられている。

グリーンメタノール燃料は、クリーンかつ低炭素な次世代型燃料である。まず、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを用いて発電し、その電力によって水を電気分解することで水素を製造する。次に、その水素を、稲わらや作物の茎など農林業廃棄物から回収・抽出したグリーンカーボンと反応させることで、最終的にメタノールやSAF(持続可能な航空燃料)を合成する。

本プロジェクトの総投資額は320億元(約7,360億円、1元=約23円)であり、風力やバイオマスといった当地ならではの資源の優位性を最大限に活用し、年産50万トン規模のグリーン燃料生産拠点を整備する計画である。事業は3期に分けて段階的に建設が進められる予定であり、第1期では年産10万トンのグリーンメタノールを、第2期では年産30万トンのSAFを、第3期では年産10万トンのグリーンアンモニアをそれぞれ生産する計画だ。これにより、合計で年産50万トン規模のグリーン燃料生産能力の達成を目指す。また、本プロジェクトでは2ギガワットの集中型風力発電を建設するとともに、年間約300万トンのバイオマス需要が発生すると見込まれている。

これまで、再生可能エネルギー(風力・太陽光)による水素製造とバイオマスガス化合成は、それぞれ個別に展開されるケースがほとんどだった。しかし、本プロジェクトでは、50万トン級という大規模レベルで初めて、「グリーン電力+グリーン水素+バイオマス」からなる三位一体のシステム統合を実現している。さらに、本プロジェクト用のグリーンデータセンターの整備も同時に計画されており、「グリーン電力とデータ処理基盤を連携させた協調的な発展モデル」といった新たな取り組みが積極的に模索されている。

本プロジェクトの稼働により、当該地域における農業廃棄物の資源化利用が促進され、農村部の雇用創出や所得向上に寄与することが期待されている。併せて、中国国内におけるグリーン燃料の自主供給能力の向上を通じ、中国の「カーボンピークアウト・カーボンニュートラル」目標(注2)の実現を力強く後押しするものとされている。

(注1)2025年3月1日、中国能建集団と瀋陽市康平県との間で、本プロジェクトの推進に向けた協力協定が締結された。

(注2)中国は「2030年までのカーボンピークアウト・2060年までのカーボンニュートラル」の実現を目指している。

(李莉)

(中国)

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