世界銀行の一次産品価格指数、中東情勢受け2022年以来の上昇見通し、エネルギーや肥料・金属が寄与
(世界、中東)
調査部国際経済課
2026年04月30日
世界銀行は4月29日、「一次産品市場の見通し」〔プレスリリース(英語
、日本語
)〕を発表した。2026年の一次産品価格指数(2010年=100)予測は前年比15.5%増の113.7で(添付資料表参照)、前回予測値(2025年10月発表)から23.0ポイント上昇した。ホルムズ海峡におけるエネルギーインフラへの攻撃、輸送の混乱を含む中東情勢の緊迫化などにより、エネルギー、肥料、一部の主要金属の価格が過去最高水準まで上昇していることが全体の上昇にも寄与している。一次産品全体の価格指数が上昇するのは、ロシアによるウクライナ侵攻が開始した2022年以来となる。2027年の見通しは99.8と前年比では低下する見通しであるものの、前回予測から5.8ポイント引き上げられた。
エネルギー価格指数は2026年に111.3と、2022年以来の最高水準に達する見通しだ。ブレント原油価格は、2026年の年間平均は1バレル当たり86ドルと、2025年の69ドルを大幅に上回る見通し。2027年には70ドルまで低下する見込みだが、依然として2025年の水準を上回る。2026年3月の石油供給の減少量は1日約1,000万バレルと推定されており、史上最大規模の供給ショックとなったとしている。
非エネルギーの商品では、肥料の価格指数が2026年3月に過去10年で2番目となる上昇幅を記録し、2022年以来となる水準まで高まった。中東からの海上輸送の停止を大きく受ける尿素価格の上昇が影響した。
世界銀行は今後の見通しの上振れ(価格指数のさらなる上昇)要因として、紛争に伴う混乱の長期化を指摘している。今回の予測は2026年5月以降に混乱が改善し、同年10月にホルムズ海峡を通過する海上輸送量が衝突以前の水準に回復するという前提に基づいている。世界銀行は、情勢がさらに悪化した場合や供給の混乱が長期化した場合、世界経済により深刻かつ広範な影響が生じる恐れがあるとしている。また、卑金属に関しても、再生可能エネルギーやデータセンターなどの戦略分野、新興分野における需要の高まりの中で、輸出管理や関税、重要鉱物の採鉱における混乱などの要因から生じる価格上昇の恐れがあると指摘した。他方、下振れ要因としては、中東における混乱の早期解決による原油供給量の回復、予測を下回る世界経済の成長を挙げた。
世界銀行は、地政学リスクに起因する原油供給の減少が原油価格に与える影響についても分析している。将来の供給と経済見通しに関する不確実性の高まりに伴うリスクプレミアムの上昇と、中期的な備蓄確保の加速という2つの要因により、通常の供給減よりも価格に対する影響が大きくなるとしている。世界銀行は分析を踏まえ、各国に対して一連のショックによる影響を緩和する政策措置が重要だと強調している。
(山田恭之)
(世界、中東)
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