米小売業界でテック主導経営へシフト、米ホーム・デポ、新CTOにフォードのAI責任者
(米国)
ニューヨーク発
2026年04月03日
米国の小売業界全体で、人工知能(AI)主導の経営へのシフトが進行している。米国ホームセンターチェーン大手ホーム・デポは3月31日、次期副社長(EVP)兼最高技術責任者(CTO)に、フランツィスカ・ベル氏を任命したと発表
した。4月6日付で就任し、同社のテクノロジー戦略、製品管理、データ活用、およびAI戦略を統括する。
ベル氏は直近までフォード・モーターでAI・データ部門の責任者を務めていた。それ以前も、石油ガス大手BP、ライドシェア大手のウーバー、トヨタ自動車でエグゼクティブ職を歴任、製造・インフラ・プラットフォームの各領域で実績を築いてきた。今回の起用により、ホーム・デポはAIが自律的に判断してタスクを実行する「エージェント型AI」や機械学習の全社的な導入を進め、店舗・オンライン双方での顧客体験の高度化を図る。
ホームセンター業界でデジタル競争が加速する中、ホーム・デポは売上額の約半分を占める、「プロ事業者(建築事業者など)」への施策を強化している。新CTOの下で、AIによる高精度な見積もりや在庫管理、現場配送といったデジタル基盤を拡充し、利便性の向上を通じて、顧客の囲い込みにより、ロウズなどの競合他社に対する競争優位性の確立を狙う。
他社でも同様の動きが目立つ。スターバックスは2026年1月、アマゾンで約19年間、同社のテクノロジー開発に携わってきたアーナンド・バラダラジャン氏を新CTOに迎えるなど、テック大手の出身者を起用してサプライチェーンや顧客体験のデジタル化を進めている。このほか、百貨店大手コールズのスティーブン・ディー氏(元ナイキ・デジタル担当バイスプレジデント)もデジタルと実店舗の融合に長けたリーダーとして採用された。経営トップの役割は従来のIT統括から、経営戦略の中核を担う存在へと拡大している。
(樫葉さくら)
(米国)
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