人員削減と人手不足が併存する雇用市場

(ロシア)

調査部欧州課

2026年04月30日

ロシアの連邦労働雇用局は4月22日、社会・労働関係調整3者委員会の会合において、4月1日時点で解雇を勧告されている国内の労働者数は10万5,147人に達し、2025年6月比で43%増加したと明らかにした(「ベドモスチ」4月23日)。また、連邦国家統計局によると、2025年第4四半期(10〜12月)における解雇者数は3万2,600人となり、前年同期比で59%増加している。

独立労働組合連合本部社会・労働関係および社会的パートナーシップ局のオレグ・ソコロフ局長は、人員削減の背景として、連邦および地方予算の財政逼迫や業務のデジタル化、人工知能(AI)の導入などを挙げている。そのほか、不況や消費者需要の低下、高金利も人員削減を促す要因となっているとの見方がある(「ベドモスチ」4月23日)。

実際に、モスクワ市政府をはじめとする複数の政府機関や、ズベルバンクなどの大手企業が相次いで人員削減の計画に言及している。同社は2025年、AIの導入に伴い、従業員を約20%削減した(「ベドモスチ」2月11日)。

その一方で、ソコロフ氏は解雇勧告者数の増加について、現時点では社会全体での現象ではなく、限定的な削減にすぎないと指摘している。「ロシア新聞」(4月24日)によると、人員削減が行われているのは、公的部門ならびに金融や法務、会計といった事務職に集中している。これらの分野では求職者による競争が激化する一方、自動化の進展により必要な人員数が縮小している。

人員削減が進む雇用市場の中でも、ロシアでは人材不足が引き続き深刻だ。連邦国家統計局によれば、国内の失業率は2月1日時点で2.1%まで低下した。大統領府付属ロシア国民経済・行政アカデミー・サンクトペテルブルク校のナタリア・ゴルバトワ継続教育学部長は、「人員削減と人手不足の深刻化という、相反する2つの動きは、経済部門間における労働力の再配分が進んでいることで説明できる」とみている(「実業ペテルブルク」4月24日)。人員削減と併存して人手不足が生じているのは一部の分野であり、特に不足しているのは、技能労働者に加え、エンジニア、IT人材、医師などだ。

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