中央アジア各国、中東情勢悪化で食料インフレ懸念
(トルクメニスタン、タジキスタン、キルギス、中東)
タシケント発
2026年04月13日
中東情勢の悪化によりホルムズ海峡が封鎖状態となって海運が混乱し肥料や燃料のコストが上昇している中、イランが3月上旬に食料品輸出を停止したことも影響し、中央アジア各国で食料インフレ懸念が高まっている。
タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領は、国民向け演説の中で、世界情勢および気候変動の影響により、2026年は食料価格が前例のない水準で上昇する可能性に言及した。市場への食料供給と国の食料安全保障のために尽力しなければならないと述べた(大統領府発表、3月30日)。タジキスタンは2025年にイランとの貿易額が4億8,390万ドルに上り、イランが貿易相手国第5位になった。うち輸入が3億7,120万ドルで、イランからパン、白糖、オレンジなどの果物をはじめとする食品を輸入していた(「アジア・プラス」1月14日)。
タジキスタンの首都ドゥシャンベのスーパーに並ぶ輸入食品(2025年10月、ジェトロ撮影)
イランと国境を接するトルクメニスタンでは、国土の80%以上を砂漠が占め、経済は天然ガスの輸出に依存する。同国ではイランからの輸入依存度が高いなか、紛争により供給が不安定となり、食品、家庭用化学製品、建築資材、タバコの価格上昇が起こった。食品ではとくにイラン産ジャガイモ、キュウリの首都アシガバートでの市場価格が2月末と比較して3倍、果物は2倍に上昇した(「トルクメン・ニュース」3月6日)。紛争以前は両国間貿易が活発に行われており、両国は今後数年で貿易額を30億ドルに増やす計画を立て、国境に位置するフリーゾーン「インチェ・ボルン」の活用を促進していた。
世界銀行の統計によると、2023年のキルギスの食品輸入相手国のうち、イランが第9位だった。2025年のイランからの輸入のうち13%が食品であり、ピスタチオ、デーツ、乾燥果実などが中心だった(「Nikkei Asia」4月5日)。イランからの食品の供給が縮小すれば、既に高水準である食料インフレに圧力が加わる可能性が高い。
これまでイランは、欧米による制裁下で中央アジア向けの輸出に取り組んできた。中央アジア諸国の中でも、1人当たりGDPが比較的低いキルギスやタジキスタンでは、イラン産品は手ごろな価格で一定の品質を有すると考えられていた。さらにキルギスとタジキスタンは輸入依存度が高く、価格上昇に適応できる財政余力も限られている。
2月末、キルギスの首都ビシュケクのスーパーに並ぶ輸入食品(ジェトロ撮影)
国連食糧農業機関(FAO)の発表(4月3日)によると、国際取引される主要食料品の価格動向を示すFAO食料価格指数は3月に128.5ポイントとなり、前月比2.4%上昇、前年同月比では1.0%上回った。「タイムズ・オブ・セントラルアジア」は4月3日、「中央アジアは燃料・肥料の輸入に依存し、長距離かつ多段階の輸送ルートに頼っているためコスト上昇の影響を特に受けやすい」と指摘した。
(竹内アイシェギュル)
(トルクメニスタン、タジキスタン、キルギス、中東)
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