米ミネソタ大で医療機器の国際会議開催、医療イノベーションの課題解決が不可欠

(米国)

シカゴ発

2026年04月28日

米国ミネソタ州ミネアポリスで4月20~22日、医療機器分野の産学連携会議「デザイン・オブ・メディカル・デバイシズ・カンファレンス(Design of Medical Devices Conference、DMD」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が開催された。同会議はミネソタ大学(University of Minnesota)が主催し、2001年の開始以来、医療機器の設計・開発に特化した国際会議として位置付けられている。25周年を迎えた今回は、研究者、企業、規制当局などが一堂に会し、基礎研究から臨床応用、事業化までを横断的に議論した。

基調講演および並行セッションでは、生体保存技術(Biopreservation)や神経系医療技術(Neuro Medtech)など多様なテーマが扱われたが、医療イノベーションにおける「未充足医療ニーズ(unmet medical needs)、注1」の重要性が共通して強調された。単なる技術革新ではなく、患者アウトカム(医療行為によってもたらされる結果)や医療機関の経済性を含めた課題解決が不可欠とされ、基礎研究、臨床、工学、産業界の連携による非線形イノベーション(注2)のプロセスの必要性が指摘された。また、医療の社会的インパクトを高めるには、個々の医師の技能に依存するのではなく、標準化・量産化を前提とした拡張可能なソリューション構築が重要とされた。

さらに、脊椎医療(注3)を例に、AIやロボティクスを活用した統合型医療システムの進展が紹介された。術前診断からAIによる手術計画、患者個別設計のインプラント、ロボット支援手術、術後データ分析までを一体化する「エコシステム型」アプローチにより、手術精度や予後の向上が期待される。特に、術後の脊椎アライメント(骨配列)を予測するAIモデルや、術中にリアルタイムで変形を把握する技術が注目された。

写真 会場内の様子(ジェトロ撮影)

会場内の様子(ジェトロ撮影)

また、関連プログラムとしてミネソタ大学のビジブル・ハート・ラボラトリーズ(Visible Heart Laboratories)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの見学も実施された。同施設では寄付により提供されたヒト心臓を拍動状態で再現し、内部構造を可視化する技術を用いて医療機器開発や教育に活用している。参加者は実際の心臓構造やデバイス挙動を観察し、臨床ニーズと工学技術の融合の重要性を再認識した。

会議全体を通じて、医療機器分野ではAI・データ活用を軸に、診断から治療、フォローアップまでを一体化する動きが加速していることが確認された。一方で、AI規制への対応や臨床データ蓄積に関する課題も指摘され、今後は技術開発と制度整備の両面での対応が求められる。

(注1)有効な治療法が存在しない、あるいは既存治療では不十分な疾患に対する医療需要。

(注2)過去の延長線上ではない、飛躍的な技術進化やビジネスモデルの転換により、市場を根本的に変える革新。

(注3)頸椎(けいつい)から腰椎までの骨、椎間板、脊髄神経の病気を治療する整形外科の専門分野。

(住谷紗恵子)

(米国)

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