インドがイラン産原油を調達、中東供給網の混乱下で7年ぶり輸入

(インド、中東)

ムンバイ発

2026年04月09日

インドは中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー供給網の混乱を受け、イラン産原油の調達を約7年ぶりに実施した。石油・天然ガス省(MoPNG)は4月4日、関連取引について「支払い上の問題は一切ない」ことを強調し、一部で報じられた決済障害や取引トラブルについて明確に否定した。

インドがイランから原油を調達するのは、米国の制裁強化を背景に輸入を停止した2019年5月以来となる(2019年4月23日記事参照)。今回の決定は、米国・イスラエルとイランの対立激化により、ホルムズ海峡を通過する原油・ガス輸送が不安定な状況下で行われた。世界3位(2024年時点)の原油輸入国であるインドは、原油の約半分、液化石油ガス(LPG)の大半を中東地域に依存しており、供給途絶や価格高騰の影響を強く受けやすい。こうした状況を踏まえ、政府および精製業者はエネルギー安全保障を優先課題として、調達先の多角化を進めている。

同省は、インドの精製会社が40カ国以上から原油を調達していることを明らかにし、企業には商業的判断に基づきさまざまな供給源や地域を選択する十分な柔軟性があると説明した。また、イラン産原油を積載したタンカーがインド西部の港湾向けから中国方面に進路変更したとする一部報道についても、「国際原油取引では、航行中に最終仕向け地が変更されることは一般的であり、決済問題が原因ではない」と否定した。さらにインドは、イラン産のLPGも購入しており、約4万4,000トンを積載した船舶が4月2日に南部カルナータカ州のニューマンガロール港に入港し、荷揚げ作業が進められた。イラン産LPGの輸入も、原油と同様に約7年ぶりとなる。

背景には、世界的なエネルギー供給不足を緩和する目的で、米国が2026年3月にイラン産原油および精製品に対する制裁を一時的に緩和したことがあるとみられる。インド政府は、今後数カ月分の原油需要は既に確保されており、現時点で国内の燃料供給は安定しているとの認識を示している。

(野本直希)

(インド、中東)

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