マレーシア製造業、中東情勢による供給不足リスクを懸念
(マレーシア、中東)
クアラルンプール発
2026年04月23日
マレーシア製造業連盟(FMM)は4月7日、中東情勢およびホルムズ海峡・紅海における海上物流の混乱が、深刻な影響を及ぼしているとする調査結果(公式発表
)を公表した。FMMは200社超の製造業者を対象にアンケートを実施した(時期不明、2026年4月6日ベルナマ通信)。回答企業の約9割が既に影響を受けている、もしくは今後4週間以内に影響が及ぶと見通しており、影響は製造業全体へ急速に広がっている。
最大の懸念は、原材料の供給不足だ。約7割の企業が、4週間以内に原材料不足が生じる可能性を指摘し、重要原材料の在庫が2週間未満にとどまる企業も一部にみられる。FMMは、今回の問題は単なるコスト上昇にとどまらず、必要な原材料を確保できないことによる生産停止リスクが現実化しつつある点を指摘している。実際、67.3%の企業が1カ月以内に生産に支障が生じると見込んでおり、原材料不足が短期間のうちに、生産量の減少、製品ラインの一時停止、国内外の受注未達へと波及する可能性を示している。
こうした状況を受け、企業は日本、中国、インド、タイ、韓国、ASEAN各国などの代替調達先を模索しているものの、顧客による材料認証、規制当局の認可、品質検証、非契約先調達によるコスト増などが障壁となり、切り替えは容易ではない。
特にナフサ、LPG(液化石油ガス)、硫黄、特殊化学品など、中東および欧州由来の原材料供給が逼迫しており、化学、プラスチック、電気・電子、食品、日用品など幅広い産業分野に影響が及んでいる。原材料に加え、エネルギー、燃料、貨物輸送といった複数の供給要素が同時に混乱していることが、影響を一層深刻化させている。
また、船舶の迂回や遅延に伴う輸送日数の長期化、燃料費・保険料の上昇、ディーゼル燃料供給の制約などにより、物流・操業コストも急騰している。FMMによれば、多くの製造業者は2~6週間程度の短い在庫サイクルで操業しており、補充の遅れが直ちに生産計画に影響する構造にあるという。
マレーシアの製造業は原材料の海外依存度が高く、約8割超の企業が調達の30%以上を海外に依存している。このため、影響は輸出向け生産にとどまらず、国内サプライチェーンや消費者向け製品の供給量・価格にも波及する可能性があるとしている。
FMMは、紛争が短期的に収束した場合でも、国際運賃、保険料、原材料調達環境の正常化には時間を要し、影響は中期的に残るとしている。進出日系企業にとっては、調達先の分散、在庫管理の見直し、物流リードタイムの再評価など、サプライチェーン強靭(きょうじん)化に向けた対応が一層重要になる。
(ニサ・モハマド)
(マレーシア、中東)
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