フィリピン政府、中東から帰国した在外労働者(OFW)の生活を支援
(フィリピン、中東)
マニラ発
2026年04月10日
フィリピン移民労働者省(DMW)は4月3日、中東情勢の緊迫を受け、新たに344人のフィリピン人が中東から帰国したと発表した。DMWのハンス・レオ・カクダック大臣によると、帰国者には、在外フィリピン人労働者(OFW:Overseas Filipino Workers)とその家族が含まれており、政府チャーター機でUAEから到着した。この帰国便は、政府による中東からの帰国支援便の第7便で、これまでに4,241人のフィリピン人が帰国している(4月6日付「インクワイアラー」紙)。
帰国したOFWは、海外労働者福祉庁(OWWA)から支援を受ける見込みだ。OWWAは、OFWが地元に戻り、フィリピンでの生活に再適応できるよう支援を提供する。OWWAのパトリシア・イボンヌ・カウナン長官は、「マニラへの帰国便、帰国後の各種支援サービス、地方への国内線航空券、陸上交通、ホテル宿泊、食事の手配補助などを提供する」と述べた。
また、フィリピン政府による、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、バーレーン、オマーン、カタール、イスラエル、レバノンへの派遣禁止措置を受け、4万人以上のOFWがマニラで足止めされている。この中には、家事労働者を派遣する人材派遣会社の宿泊施設に滞在する者や、既に出身の州に帰郷した者、中東行きの航空便不足により契約を履行できない再雇用者や休暇中の労働者などが含まれているという(4月6日付「フィルスター」紙)。
中東情勢により今後懸念される影響
フィリピン経済において、中東のOFWは重要な役割を担っている。フィリピン中央銀行(BSP)によれば、2025年のOFWからの送金額(銀行送金ベース)は、前年比3.3%増の356億3,378万ドル(注1)だった。このうち、サウジアラビアが全体の6.6%、UAEが4.6%を占めた(注2)。
派遣人数でみると、DMWの発表では、2025年の陸上職OFWは、前年比17.9%増の215万4,773人だった。国・地域別でみると、UAEが39万7,892人で最も多く、2位がサウジアラビア(38万6,699人)、5位がカタール(16万890人)、7位がクウェート(10万6,364人)だった(注3)。また、フィリピン外務省(DFA)のデータによれば、2026年4月時点で240万人以上のフィリピン人が中東に居住しており、UAEとサウジアラビアに大規模なコミュニティーがあるという。
BSPのエリ・レモロナ総裁は、昨今の中東情勢の影響について、「労働サービスに対する需要という点で、複数の下振れリスクがある」「本国送金総額の約18%は中東からであり、懸念材料となっている」と述べた(3月9日付「ビジネスミラー」紙)。
(注1)送金総額のうち、陸上職からの送金が284億9,475万ドル、海上職が71億3,902万ドルだった。
(注2)サウジアラビア、UAE以外の送金額上位国・地域は、1位が米国(全体の39.7%)、2位がシンガポール(7.3%)、4位が日本(5.0%)、5位が英国(4.6%)だった。
(注3)海上職は国・地域別での集計対象外。中東以外の上位国・地域は、3位がシンガポール(22万1,492人)、4位が香港(20万2,415人)だった。
(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)
(フィリピン、中東)
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