中国企業、中東情勢緊迫化に伴う輸送コストや原材料価格の高騰で影響受ける
(中国、中東)
北京発
2026年04月09日
中国国際貿易促進委員会(CCPIT)法律事業部は3月30日、傘下のウェブサイト「貿法通」(注1)に「中東情勢が中国の貿易企業に与える影響とその対策
」と題した文章を掲載した。同文章では、具体的な事例を交えながら、中東情勢の緊迫化が中国の貿易企業に与える影響について解説している。
同文章は、中東における衝突の激化に伴うホルムズ海峡などの航路遮断により、一部の中国企業は国際海運ルートの変更を余儀なくされているほか、輸送コストが大幅に上昇したことで、グローバルサプライチェーンに深刻な混乱をもたらしていると指摘した。その上で、中国の中東向け輸出企業の多くが、顧客による注文のキャンセルや代金回収の困難といった複合的なリスクに直面していると分析し、中東へ直接輸出していない企業についても、エネルギーや原材料価格の上昇による深刻なコスト上昇圧力にさらされ、一部は経営難に陥っているとしている。
具体例として、山東省の板材輸出企業は、中東向けに発送したコンテナ180個超、貨物価値にして約170万ドル以上の貨物が予定どおりに寄港できず、インド西部グジャラート州のカンドラ港への寄港地変更を余儀なくされた。この結果、追加の輸送コストにより1,000万元(約2億3,000万円、1元=約23円)超の損失が見込まれているほか、納期の遅延による契約違反や損害賠償請求、注文キャンセルといったリスクにも直面しているという。
また、エアコンの輸出にも大きな影響を及ぼしている。中東は中国のエアコン輸出にとって重要な成長市場だが、同地での紛争の激化後、中国の家庭用エアコンの輸出向け生産計画は当初から大幅に下方修正された。輸送運賃の高騰や海運会社による戦争関連費用の追加徴収(注2)を理由に、海外顧客による注文のキャンセルまたは延期が相次いでおり、3月の輸出向け生産台数は50万台以上減少すると見込まれる。中東向け輸出事業を事実上停止したと明らかにする企業もあらわれている。
さらに、広東省の小型家電輸出企業では、プラスチックなど原材料価格の高騰を受け、総コストが20~24%上昇している。このため、新規受注に慎重な姿勢を示しており、現在は紛争前の在庫処理と既存注文の消化に限って対応しているが、今後の受注と生産は停滞しているという。
このほか、同文章では貿易企業に対して、輸送中・港湾滞留貨物の迅速な処理、納期の延長・費用分担・決済方式の調整などに関する海外顧客との積極的な交渉、貿易関連契約の見直し、物流ルートや市場の多角化、輸出信用保険などの活用、生産・受注計画の柔軟な調整、長納期・多額の受注の手控え、在庫・生産能力の合理的なコントロールなどの対策が提案されている。
(注1)「貿法通」は、CCPIT法律事業部が運営する、企業の国際貿易や海外投資を支援する総合的な対外商事法律サービスプラットフォーム。オンライン相談を中心に、各国の法律・判例の検索、貿易関連のリスクアラート情報、研修・セミナー情報などをワンストップで提供し、企業が直面する各種国際ビジネス上の法的課題の解決を支援している。
(注2)中国から中東への航空運賃は3倍以上に上昇し、戦争を理由とした追加料金はコンテナ1個当たり数千ドルにのぼるとしている。
(張敏)
(中国、中東)
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