日本とベトナムの宇宙科学産業協力の可能性を探る産学官フォーラムが開催
(ベトナム、日本)
ハノイ発
2026年04月03日
ベトナム政府は3月13日、ハノイ市西部のホアラック・ハイテクパーク内にベトナム国家宇宙センター(VNSC)(注)を開所した。同施設は、日本の政府開発援助(ODA)を活用して設立され、ベトナムの宇宙科学開発を支える中核拠点に位置付けられる。9ヘクタールの敷地に、人工衛星運用センター、衛星データ活用センター、直径9メートルの地上アンテナなどを備える。開所式には、ベトナムのファム・ミン・チン首相、日本の伊藤直樹駐ベトナム大使、畑田浩之経済産業審議官、宇宙航空研究開発機構(JAXA)山川宏理事長、ジェトロ平野賢一理事をはじめ、計220人の両国の産学官関係者が出席した。
両国は、JAXAが2006年以降、技術移転や人材育成、衛星開発支援など多方面の協力を続けるなど、宇宙科学分野での連携を深めてきた。同施設の稼働により、ベトナムの宇宙科学技術基盤が強化され、衛星データを活用した災害監視、農業、海洋管理などの社会課題の解決も期待される。チン首相は、「VNSCの開所はベトナムの宇宙科学技術発展における重要な節目であり、日越協力の深化を象徴するもの」と述べるとともに、日本のODAで開発中の地球観測衛星LOTUSat‑1の打ち上げに向けて両国間のさらなる協力を呼びかけた。
日越産学官連携フォーラムも併催
VNSCの開所に合わせ、経済産業省、ベトナム科学技術アカデミー(VAST)は、3月12~15日にかけ、国際協力機構(JICA)、JAXA、ジェトロなど関係機関と「VIETNAM - JAPAN SPACE HORIZONS 2026 FORUM; Partnering for the New Era」を同施設で開催した。両国の関係機関・企業による協力覚書(MoU)が締結されたほか、両国企業などによるブース展示、パネルディスカッションやビジネスマッチングなどを通じ、産官学によるネットワーキングが行われた。
パネルディスカッションでは、水田メタン排出削減などの環境モニタリング、衛星データ利活用、災害管理、教育・人材育成など、宇宙科学技術に関連した幅広い協力事例が紹介されるとともに、今後の民間企業間での取り組み促進も含めビジネスの組成、協業創出に向けた議論が行われた。参加したベトナム企業からは、「欧米から輸入している衛星部品、試験装置の調達先を日本に変更することを検討している。日本企業との協業や取引を模索する上で、サプライチェーン構築を後押しする施策があると望ましい」などの要望が出された。
VNSC開所式の様子(ジェトロ撮影)
(注)ベトナム国家宇宙センター(VNSC)は、ベトナム科学技術アカデミー(VAST)傘下の政府系宇宙機関であり、「VNSC」という名称は組織名と施設名の両方に用いられている。
(安長裕)
(ベトナム、日本)
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