中東情勢の悪化がインド飲料市場に波及、アルミ缶の供給逼迫が顕在化

(インド、中東)

ムンバイ発

2026年04月30日

インドの飲料市場では、中東情勢の悪化を背景に、飲料用アルミ缶の供給逼迫が顕在化している。2026年4月、中東地域を巡る地政学リスクの高まりにより、航路の迂回や海上遅延など、海上物流の混乱が発生した。これに伴い、インドが中東および周辺国から輸入している飲料用アルミ缶の輸送量や納期の確保が困難になり、ニューデリーやムンバイといった都市部を中心に清涼飲料の供給に影響が及んでいる。

特に影響が大きいのが、米国の大手飲料メーカー「コカ・コーラ」が製造する「ダイエット・コーク」だ。現地紙によれば、「ダイエット・コーク」は主にアルミ缶で販売されており、ペットボトルやガラス瓶といった代替包装が限定的とされる(「タイムズ・オブ・インディア」紙2026年4月22日)。このため、アルミ缶の供給遅延や輸入コストの上昇が深刻な影響をもたらし、都市では、小売店や即配プラットフォームで一時的に品薄状態が発生した。一方、通常のコーラや炭酸飲料、インド発祥ブランドの「サムズアップ(Thums Up)」などは、ペットボトルやガラス瓶を併用していることから、供給への影響は限定的とみられている。

地場の小売りプラットフォーム「ビゾム(Bizom)」の統計によると、4月の缶飲料(アルコール飲料を除く)の販売額は前年同月比で19.4%減少した。アルミニウムの供給不足は、小売店からの発注減も併発しており、4月以降、小売店舗への納入量は現時点で、前年同月比22%減となっている。同社のアナリティクス責任者のハルシット・ボラ氏は「サプライチェーン(供給網)の問題が長引けば、小売り現場の状況はさらに悪化する恐れがある」と述べている。

アルミ缶不足の問題は清涼飲料水に限らず、ビールメーカーでも同様の制約に直面している。現地報道によれば、一部の企業では限られた缶の在庫を利益率の高い製品に優先的に充当している事例もあるという(「フィナンシャル・エクスプレス」紙4月27日)。

(野本直希)

(インド、中東)

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