メキシコ政府、ディーゼル価格上限に関する業界との合意を再確認
(メキシコ、中東)
メキシコ発
2026年04月07日
メキシコ大蔵公債省(SHCP)は3月31日のプレスリリースで、現在の国際情勢を鑑み、今後数日間にわたって全国のディーゼル燃料価格を1リットル当たり28.30ペソ(約255円、1ペソ=約9.0円)未満に引き下げることを目的とした、一時的な合意について再確認したと発表した。3月26日の早朝記者会見では、クラウディア・シェインバウム大統領がガソリン販売業者と同様の自主的な合意が成立したことを発表していたが、ガソリン販売業者が受け入れを拒否したとの報道を受け、SHCPとガソリン業界各社による共同声明で再度合意を発表したかたちだ。さらに、レギュラーガソリン価格(注1)については、既に1リットル当たり24ペソ未満に維持することでガソリン業界と合意済みであり、現在もその措置は継続されているとした。
メキシコ政府としては、レギュラーガソリン、ディーゼル価格の上昇に対し、生産サービス特別税(IEPS)の税制優遇措置を実施している。2026年時点で、レギュラーガソリンに対しては1リットル当たり6.7001ペソ、ディーゼルに対しては1リットル当たり7.3634ペソのIEPS税が賦課されている(注2)。これに対しSHCPは、4月4日から10日にかけて、レギュラーガソリン31.34%、ハイオク18.48%、ディーゼル81.20%のIEPS減税を行うことを決めた(注3)。
米国と比較しても高いメキシコのガソリン価格
メキシコでは中東からの石油輸入はほぼないため、他国と比較して直近での石油価格上昇による懸念は少ない。しかし、米国よりもメキシコのガソリン価格のほうが高い傾向にあると指摘する声もある。
エネルギー・経済専門家のラムセス・ペッチ氏は、メキシコでは、消費者がディーゼル1リットル当たり6.80ペソの税金を支払っているのに対し、米国では州税と連邦税を合わせて平均約4.41ペソが課されているとした(「エル・エコノミスタ」紙4月1日)。また、ペッチ氏はレギュラーガソリンにおいて消費者が支払う税金は、上記税制優遇措置の発表前までは、メキシコでは付加価値税(IVA)とIEPS税で1リットル当たり8.96ペソなのに対し、米国は3.44ペソ(州税+連邦税の平均)と試算している。同氏は「メキシコでのガソリン価格の高さは、市場コストではなく、税制上の決定によるところが大きい」と強調した。メキシコ政府としては、IEPS税の税制優遇措置でガソリン価格を下げることで対応しているが、国際情勢の不確実性や長期化も懸念される中で、同措置がいつまで継続されるかが注目される。
(注1)低オクタン価(オクタン価91未満)ガソリンをガソリン、高オクタン価(オクタン価91以上)ガソリンをハイオクとする。
(注2)生産サービス特別税法第2条D項1で税率が規定されており、2025年12月22日付の改正での税率は次のとおり。
- オクタン価91未満のガソリン:1リットル当たり6.7001ペソ。
- オクタン価91以上のガソリン(ハイオク):1リットル当たり5.6579ペソ
- ディーゼル:1リットル当たり7.3634ペソ
(注3)SHCPは「指定された期間における指定された燃料に適用されるIEPS税の税率、税制優遇措置の金額、減税額およびリットル当たりの金額を定める省令」で、ガソリン、ハイオク、ディーゼル価格に対するIEPS税の税制優遇、減税率を定めており、同省令は毎週公表される。そのため、週によって減税率が変動することに注意が必要だ。
(阿部眞弘)
(メキシコ、中東)
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