塩化ビニル樹脂製造のシンテック、米ルイジアナ州で34億ドルの大型設備拡張発表

(米国、日本)

ヒューストン発

2026年03月09日

信越化学工業の米国子会社シンテック(Shintech)は3月5日、ルイジアナ州プラケマイン拠点において、総額34億ドルの設備拡張を実施すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の投資では、塩化ビニル樹脂(塩ビ)の主要原料となるエチレンを製造する第2工場と、電解設備および塩化ビニルモノマー(VCM)を生産する第4工場を新設する。拡張により見込まれる生産能力は、エチレンが年産62万5,000トン、VCMが年産50万トン、苛性ソーダが年産31万トンとなる。原料から一貫生産する能力を強化することで、米国内で主原料を安定かつ効率的に自社で調達できる体制を確立し、世界市場における競争力と供給能力を一段と高める狙いだ。建設完了は2030年末を予定している。

塩ビは環境負荷が比較的低い汎用(はんよう)樹脂としてインフラ整備や生活基盤を支えており、今後5年間で世界需要が年平均75万トン以上増えると予測される。一方、苛性ソーダも日常用途に加え、蓄電池製造や重要鉱物分野への応用が拡大しており、同期間に年平均130万トン以上の世界需要増が見込まれている。

同社は2000年の操業開始以降、ルイジアナ州で継続的に投資を重ね、累計90億ドル規模の大型案件を実行してきた。同州のジェフ・ランドリー知事(共和党)は、同社の25年の事業継続を経て34億ドルの再投資を決断したことは非常に意義深いと評価した。同社は、州による人材育成支援に加え、設備投資やインフラ改善に連動した2,350万ドルの成果連動型助成金を受給する。また、州の産業税減免制度とクオリティー・ジョブ制度(注)の活用も見込まれている。州経済開発局は、この投資で既存の725人の雇用を維持しつつ、163人の新規直接雇用が見込まれるとしている。間接雇用の655人を含めて最大818人の新たな雇用機会を地域にもたらすと期待する。

(注)ルイジアナ州の産業税減免制度(Industrial Tax Exemption Program、ITEP)は、製造業の新規・増設投資に対し最大10年間、固定資産税の80%を免除する。クオリティー・ジョブ制度(Quality Jobs program)は、高給与の新規雇用を創出する対象産業の企業に対し、新規雇用に伴う給与支出最大6%の最長10年間のキャッシュリベート、および資本支出に対する州の売上税/使用税の還元、または対象となる費用に対するプロジェクト施設費の1.5%の還元のいずれかが提供される。

(キリアン知佳)

(米国、日本)

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