タイ中銀、政策金利を引き下げ

(タイ)

バンコク発

2026年03月04日

タイ中央銀行(BOT)は2月25日、金融政策委員会(MPC)を開催し、4対2で政策金利を0.25ポイント引き下げ、1.00%にすることを決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。引き下げは2会合連続。ロイター通信のエコノミスト調査では、27人中21人が据え置きを見込んでおり、残りが引き下げを予測していた。

BOTの発表によると、2025年第4四半期のタイ経済は、年末の一時的な要因もあり、民間投資や財輸出を中心に予想を上回る成長を遂げた。しかし、今後は、経済全体の構造的な制約や、市場競争の激化により、引き続き潜在成長率を下回ると予想した。先行きについては、米国関税を巡る不確実性、2027年度予算の遅延に加え、資金繰りが厳しい中小企業の動向や通貨バーツ高に注意が必要とした。

総合インフレ率は、エネルギー価格の下落傾向や政府による追加の経済支援措置の可能性から、以前より下振れリスクが高まっている。また、競争の激化や購買力の弱さが下押し圧力となり、インフレ目標(1~3%)への回帰が、2027年前半から後半にずれ込むと予測した。ただし、広範な財・サービス価格の下落は見られず、デフレリスクは依然として低いとした。

タイ通貨のバーツは、米国連邦準備制度(FRB)の政策金利見通しやタイ固有の要因を受けて、対米ドルで上昇しており、特に輸出業者の財務状況を悪化させていると分析。MPCは、為替レートが経済のファンダメンタルズから乖離している兆候を懸念しており、バーツの変動や大口取引を十分注視するとともに、金関連などの金融取引に対する規制措置の実効性と妥当性を評価する必要があるとした。

また、金利の低下は、企業や家計の負債負担軽減に寄与している一方、信用リスクの高い中小企業の借り入れコストは、依然として上昇を続けており、与信は収縮したままとみている。MPCは、中小企業や個人など、脆弱(ぜいじゃく)なグループを救済するためのさらなる金融措置を支援するとした。

MPCは、今後不確実性が高まる中で、中期的な金融安定性を守ること、限られた金融政策の余地を保持することを重視するとした。一方、構造的要因に起因する経済成長の停滞は、金融政策のみで解決することはできず、生産性向上や競争力強化のための多面的な政策の統合および対象を絞った金融措置が必要だとした。

(野田芳美)

(タイ)

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