ニッチ技術を強みに宇宙産業育成を進めるリトアニア、イノベーション庁宇宙担当チームに聞く
(リトアニア)
調査部国際経済課
2026年03月18日
ジェトロは2月27日、リトアニア・イノベーション庁内の宇宙担当チーム「Space Hub LT」のリーダー、エグレ・エレナ・サタイテ氏にヒアリングを実施し、同国の宇宙関連産業の概況について聞いた。2021年5月に欧州宇宙機関(ESA)の準加盟国となったリトアニアでは、近年、宇宙産業の振興が進んでおり、同国企業はアップストリーム技術(注1)からダウンストリーム技術(注2)まで、多様なニッチ分野で強みを有している。
欧州域外連携も進めるリトアニア
同氏によれば、同国の宇宙分野の本格的な始動は2010年ごろにさかのぼる。リトアニア国内の宇宙コミュニティー関係者がESAとの協力枠組み構築を進め、その後、同国の政府資金を活用した研究開発支援が産業と学術の基盤形成を進めてきた。リトアニア側は、当初から産業向けの資金配分を重視してきた点を特徴の1つとして挙げる。
対外関係では国際協力を重視しており、ESA加盟国に加えて欧州域外との連携も重要項目だという。日本との関係では、2025年に代表団を2度派遣し、クロスユー(cross U)
(注3)とMoU(覚書)を締結したほか、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との潜在的な宇宙協力に関する共同声明
に調印した。
リトアニア側は、2014年の同国初の衛星打ち上げの際に日本人宇宙飛行士が関与したとも説明し、日本との協力関係の象徴的な事例として紹介した。
また、同氏は2021年5月のESA準加盟をリトアニアの宇宙産業にとっての重要な節目と位置付けており、2028年の加盟区分見直しを見据え、KPI(重要業績評価指標)や重点投資分野の再整理が重要課題になるとの認識を示した。具体的には、限られた予算の中で、どの分野・技術に重点投資するかを明確化することだという。リトアニア側は、小型衛星、光通信、地球観測(EO)データ活用、宇宙関連ソフトウエア、宇宙食など自国の強みをマッピング(添付資料図参照)した上で、予算制約を踏まえた「選択と集中」が必要との認識を示した。今後は、こうした重点化と国際連携を両立させながら、ニッチ技術を起点とする宇宙産業の成長を加速できるかが注目される。
(注1)衛星・機器など宇宙インフラの製造・開発および打ち上げ関連の技術。
(注2)衛星が取得したデータや宇宙インフラを活用した関連技術。
(注3)三井不動産が宇宙関連産業を活性化させるために設立したオープンプラットフォーム。
(峯裕一朗、山田恭之、金杉知紀、遠山宗督)
(リトアニア)
ビジネス短信 e50a66d30f3077a7






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