ラオス北東部〜ナムソーイ国境〜ベトナム北部を実走、物流接続と投資動向を調査

(ラオス、ベトナム)

ビエンチャン発

2026年03月19日

ジェトロは311日から12日にかけて、ラオス北東部フアパン県の県都サムヌアから国道6号線を経由し、ナムソーイ国境(ベトナム側:タインホア省ナメオ国境)へ向かい、ベトナム北部のホアビン省を経由しハノイに至る陸路を実走した(添付資料図参照)。これは同地域の国際物流の接続状況および投資環境の把握を目的とした調査で、ジェトロはこれまでにナムパオ国境経由でハノイへ至るルートでも実施している(2025年3月26日記事参照)。

出発点となるフアパン県(注1)では、20235月のノンカン空港開港に伴い、周辺の道路整備が進行している。また、同県ビエンサイ地区には、現政権ラオス人民革命党の革命組織パテート・ラオが、かつて拠点としていた洞窟群や、日本の支援により整備された桜公園(注2)などがあり、近年は観光資源としての活用が検討されている。

サムヌア中心部から最寄りの国際国境であるナムソーイ国境までは、国道6号線で約82キロ、所要時間(注3)は約2時間だった。国境までの道程では、標高約3401,000メートルの山岳地帯を通過しており、対向車とのすれ違いに注意を要する狭い道路区間も多くみられた。

写真 ラオス側ナムソーイ国境検問所の様子(ジェトロ撮影)

ラオス側ナムソーイ国境検問所の様子(ジェトロ撮影)

ベトナム側ナメオ国境からホアビン省中心部までは、国道217号線および国道15号線(プー・ルオン方面)を利用し、約225キロ、所要時間は約6時間30分だった。ナメオ国境から約185キロ地点までは山岳地帯が続き、標高約340600メートルの山道を走行した。ホアビン省中心部からハノイまでは、高速道路CT03(注4)を利用し、約60キロを1時間20分で移動した。

全体的な道路状況は、ラオス側と比較して、ベトナム側の方が車線表示やガードレールの整備が進んでいた。走行トラックはカーゴトラックが主流で、交通量もベトナム側は多いが、ラオス側では国境付近でベトナムナンバーのトラックが散見される程度だった。また、当該区間は、山岳地帯特有の急カーブが多く、大型車両の通行効率の観点でみると、ナムソーイ国境を経由した国際物流ルートの機能は現時点で限定的とみられる。

一方、ラオス側のフアパン県では投資事例もみられる。ビエンサイ地区では、韓国系衣料メーカーのプンシン(Poongshin)が2025年に縫製工場を開業している(注5)。約1,200人の雇用創出が見込まれており、ベトナムの賃金上昇を背景とした生産コスト上昇への対応として、ベトナム近接地域(国境から64キロ地点)への「ベトナム・プラスワン」投資の動きといえる。

写真 韓国企業プンシンの縫製工場(ジェトロ撮影)

韓国企業プンシンの縫製工場(ジェトロ撮影)

ラオス北東部は物流インフラ面で課題が残るものの、ベトナム北部経済圏に近接する地域であり、今後のインフラ整備次第では越境経済連携の拠点となる可能性がある。

(注1)フアパン県はラオス北東部に位置し、東側をベトナムのタインホア省、ソンラ省、ゲンラ省に接する。県都はサムヌアで、面積は約16,500平方キロメートルのうち90%を山岳地帯が占める。人口は約31万人(2024年時点)で、モン族や赤タイ族をはじめとする複数の民族が居住するエリアだ。

(注2)日本の団体から寄贈された日本産桜が植えられ、日本のNGOの指導の下、地元住民が桜の育成に取り組んでいる。毎年111月の開花の時期には祭りも開催され、野生のラオ・サクラとともに地域の観光資源となっている。

(注3)本稿での所要時間はすべて休息時間を除く。

(注4)ベトナム政府が公布した202191日付「20212030年期の道路網計画(2050年までの展望)の承認に関する首相決定1454号」によると、高速道路CT03の計画区間は、ハノイ〜ホアビン省〜ソンラ省〜ディエンビエン省を結ぶ全長約450キロの路線。実走した結果、現在、高速道路として車線幅が確保され、供用されているのは、ハノイ市境からハノイ西部のホアラック・ジャンクション(Nút giao Hoà Lc)までだった。この高速道路からホアビン省や山岳部へ向かう区間は、現時点では片道1車線の一般道としての運用が中心となっている。

(注5)プンシンは、アウトドア・バイク用機能性ウエアの製造を手掛ける。東南アジアではベトナム北部タイビン省に生産拠点を持ち、防水透湿素材GORE-TEXを用いた縫製を強みに、欧州アウトドアブランド向けOEM生産の実績を有する。

(武井浩人)

(ラオス、ベトナム)

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