2026年通年の米小売売上高は前年比4.4%増の見通し、テクノロジー投資が企業の競争力を左右

(米国)

ニューヨーク発

2026年03月23日

全米小売業協会(NRF)は3月18日、「米国の小売業界と消費者の現状」と題した第6回の年次ウェビナーを開催し、2026年の米国小売売上高が前年比4.4%増の5兆6,000億ドル(注)に達する見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本ウェビナーでは、小売企業の経営者やエコノミストなども登壇し、米国の小売業の現状や消費動向の変化、今後の見通しが議論された。

NRFのチーフ・エコノミスト、マーク・マシューズ氏は、中東情勢などの地政学リスクや消費の二極化など、先行きに不透明感があるものの、全体としては前年の成長率(3.9%増)に沿った安定的な推移を予測した。一方で、高金利の長期化や家計貯蓄の動向をリスク要因として挙げており、不透明な経済環境下で迅速に適応できる「レジリエンス(回復力)」こそが、企業の成否を分けると強調した。

また、消費トレンドの議論では、Z世代を中心とした人工知能(AI)の役割の変化に焦点が当てられた。写真検索・共有プラットフォームのピンタレストなどは、AIが単なる裏方の管理ツールではなく、「パーソナル・スタイリスト」や「検索パートナー」として消費者に寄り添う存在へ変化している実態を報告した。特に生成AIを活用した高度な商品検索や、個々の好みに最適化されたスタイリング提案は、標準的な購買プロセスの一部として定着しつつあると述べた。

さらに、小売業界では不確実な経済環境の中で、効率化と顧客価値向上の両立が課題とされ、テクノロジー投資と戦略の選択が競争力を左右するとの認識が共有された。

NRFのマシュー・シェイ会長は、閉会あいさつで「変化を恐れず、テクノロジーを顧客価値に変換し続ける企業こそが、この新時代を勝ち抜く」と指摘した。2026年の小売業は、単に商品を売る場を超え、AIによるパーソナライズと、安定したサプライチェーンに裏打ちされた「シームレスな体験」を提供する場へと進化していくと強調した。

(注)自動車ディーラー、ガソリンスタンド、レストランを除く。

(樫葉さくら)

(米国)

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